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ブランド研究

一芳(イーファン)台湾水果茶とは何者か。日本は東京に6店、本国の台湾は177店から5店へ。2019年に何が起き、日本の店は誰が運営しているのか

一芳は、創業者の祖母の名前を店名にし、祖母が煮ていたパイナップルのソースを受け継いだというフルーツティーの店です。2016年に台湾・台中で生まれ、3年で世界1,200店を超えるチェーンになりました。2019年8月、香港の加盟店の張り紙と、一芳の名前で出た中国のSNSへの投稿が報じられました。創業者によると、地元の台湾では店の売上が一時7割ほど減り、約30店が閉まっています。いま本部の店舗一覧に載るのは台湾5店、日本6店です。日本では、浅草や吉祥寺の最初の店が閉まったあと、別の住所に今の店が開き、2026年には立川にも新しい店ができました。日本の運営会社と台湾本部が持つ商標、各店の開店と閉店の年表まで、公開資料から整理しました。

公開日 2026年9月30日

一芳(イーファン)は、2016年に台湾・台中で生まれたフルーツティーのチェーンで、日本では東京の6店が本部の公式店舗一覧に載っています(2026年9月30日時点)。台湾の店は2019年2月の177店から、公式一覧では5店まで減りました。いまは本国より日本の店のほうが多くなっています。

日本の一芳は2017年12月の浅草から始まりました。浅草と吉祥寺には、閉店した最初の店と、別の住所に開いた今の店があり、検索すると両方の情報が混ざって出てきます。

一芳の米国ニュージャージー州エジソンの店。外壁にYI FANG TAIWAN FRUIT TEAの看板とパイナップルの図がある
一芳 米国ニュージャージー州エジソンの店。外壁の看板にパイナップルの図と「陳家」の印がある(撮影: Curlyrnd、2022年1月、Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)

一芳とは。数字で見る現在地

一芳は「イーファン」と読み、果物を使ったお茶を主力にする台湾のブランドです。店の看板にある「一芳水果茶」の水果茶は、中国語でフルーツティーを意味します。店名をそのまま付けた一芳フルーツティーのほか、台湾茶や黒糖タピオカミルクも扱っています。

運営会社は、台中市西屯区にある墨力國際股份有限公司です。台湾の経済部の商工登記では、代表は創業者の柯梓凱氏、設立日は2013年9月5日となっています。一芳というブランドを始めたのは2016年で、公式サイトにも「SINCE 2016」と掲げています。

一芳の店数は、2017年3月には台湾と海外を合わせて56店でした。2019年2月には台湾177店、中国大陸986店、そのほかの海外80店の計1,243店に達しています。このとき、中国大陸の店が全体の8割近くを占めていました。

時点台湾中国大陸そのほかの海外
2017年3月42店海外を合わせて14店
2019年2月177店986店80店。全地域の合計は1,243店
2019年12月公式サイトに110店掲載上海だけで118店—
2026年9月公式サイトに5店掲載公式一覧に掲載なし日本6店ほか

出所: 經理人の創業者取材(2017年3月)、今周刊(2019年2月)、自由時報・ETtoday(2019年12月)、本部公式サイトの店舗一覧(2026年9月30日閲覧)。

台湾の一芳の店数 台湾は2017年3月42店、2019年2月177店、2019年12月110店、2026年9月5店。比較として日本の2026年9月は6店。2019年12月と2026年9月は公式サイトの掲載数。 台湾の一芳の店数 0100200 4217711056 2017年3月2019年2月2019年12月2026年9月2026年9月日本 出所: 創業者への取材記事(2017年・2019年)、台湾の報道(2019年12月)、 本部公式サイトの店舗一覧(2026年9月30日閲覧)より作成

公式サイトの店舗一覧では、16の国と地域を選べます。ジョージア、スペイン、シンガポール、フィリピン、オーストラリア、マカオ、スウェーデン、ニュージーランド、フランス、ドバイ、カナダ、日本、英国、米国、台湾、香港が並び、店舗欄にはイタリア・フィレンツェの店も載っています。中国大陸、タイ、ベトナムの店は、この一覧には載っていません。

公式サイトのトップには「北米77+」「アジア73+」「欧州30+」「オーストラリア6+」という表示がありますが、更新日は付いていません。日本語の紹介で見かける「500店」「1,400店」「1,500店」も、それぞれ異なる時点の数字です。

店名は祖母の名前。創業者が見つけた「フルーツティーの空白」

一芳は創業者の祖母の名前で、ブランドの物語は、祖母が煮ていたパイナップルのソースから始まります。祖母は熟れすぎたパイナップルを煮て、果醤と呼ばれるジャムのようなソースを作っていました。一芳は、祖母の名前と作り方を受け継いだと説明しています。

冒頭の写真の米国エジソンの店でも、看板にパイナップルの図と赤い「陳家」の印が入っています。看板の英語は「TAIWAN FRUIT TEA」です。

夜市の屋台から始めた創業者

柯梓凱氏は修平技術學院の化学工程科で学び、学生時代にはピザ店、火鍋店、飲料店などで働いていました。2006年には夫婦で台中・豊原の廟東夜市に飲料の屋台を出し、その後「喬治派克」という飲料のブランドを広げています。

柯氏は2017年のCheersの取材で、飲食事業を多角化した際、起業後に蓄えた資金と出資金を合わせて1.6億台湾ドルを失ったと語りました。飲料事業に戻った理由を、本人は「飲料なら原料探しから果汁のソース、配合、商品開発まで自分でできる」と説明しています。

メニューは30品に満たなかった

2017年3月の經理人の記事は、一芳の商品開発の背景に、2015年の原料の安全をめぐる問題があったと伝えています。記事には「当時、フルーツティーという品目にはまだ代表になるブランドが無かった」とあり、一芳はこの品目を中心に据えました。

2017年3月時点の一芳のメニューは30品に満たず、使う原料は約30種でした。仕入れと製造の費用は、同業の2倍以上と紹介されています。

一芳の2016年3月から12月までの売上は4,300万台湾ドルでした。2017年には、台湾の外にも店を出し始めます。

3年で1,200店を超えた速さと、地域の代理店に任せる仕組み

一芳は国や地域の代理店に出店を任せ、本部が原料と作り方を管理する形で広がりました。台湾では2018年7月時点で、開業予定を含む155店あまりのうち、台中の2店が直営で、残りは加盟店でした。

店数は2017年3月の台湾42店、海外14店から、同年12月には台湾約150店、中国大陸約200店に増えました。2019年2月には合わせて1,243店です。柯氏は2018年に、世界で1万店を超えることを目標に掲げていました。

原料は本部が管理し、店は各地の代理店が広げる

海外では国や地域ごとに代理店を置き、現地の出店を任せていました。柯氏によると、2019年には世界に140人の代理店がいて、選ぶときには飲料への熱意、飲食店を開いた経験、行動の速さを重視したといいます。

茶葉などの味の中心になる原料は、本部が管理していました。現地で調達する果物も、本部の試験を通ったものだけを仕入れる決まりでした。柯氏は2019年2月の取材で、各地域が何を仕入れたかをシステムで追っていると説明しています。

本部の加盟案内には、店づくり、飲料の作り方、機器の操作、開業前の研修、立地選び、販促の支援が並びます。茶葉、果汁、牛乳、砂糖などの原料は、ロットごとにサンプルを保管し、記録を残してあとから追えるようにするとのことです。

仕入れ先を定期的に監査する制度と、自社の検査室があることも案内しています。新しい飲料の研究開発も、本部が支援する仕事のひとつです。

加盟の申請フォームは海外、米国、台湾に分かれ、希望地域、飲料業の経験、開店の予算を記入する欄があります。申請後は相談と審査、契約、内装、教育、試営業を経て開業する流れです。加盟金、ロイヤリティ、契約年数は載っていません。

当社の見方

本部は原料と看板と作り方を握り、店を出す資金と人は各地の代理店が持ちます。本国の台湾でも、2018年時点の直営は台中の2店でした。本部が自前で物件を探し、人を雇って店を作る場合に比べると、この形はずっと速く店を増やせます。その代わり、店が増える速さも閉まる速さも、その国の代理店の判断と体力に左右されます。一芳の3年間の伸びと、そのあとの国ごとの動きの違いは、同じ仕組みの表と裏だと当社は考えています。

2019年8月、香港の店の張り紙から始まった3か月

2019年8月5日、香港の加盟店の張り紙と、その後に出た一芳名義のSNS投稿を、台湾の通信社が報じました。この年の2月時点で、一芳の店は中国大陸に986店、台湾に177店、香港に25店ありました。

日付起きたこと出どころ
8月5日香港の加盟店が「香港の人々とともに歩む。1日休業」と張り紙を出しました。台湾の通信社の報道
8月5日午後中国のSNSの微博で、一芳の名前のアカウントが「一国二制度を断固として支持し、暴力的なストライキに断固反対する」と投稿し、張り紙を出した香港の店との契約を解くと表明しました。台湾の通信社の報道
8月5日夜台湾本部の広報が「微博の内容は台湾の会社が出した声明ではない」と説明しました。台北の加盟店のオーナーらも、投稿に同意しないと表明しています。台湾の通信社の報道
8月6日台湾本部が「ブランドを政治に関わらせない原則を守る」と声明を出し、おわびを表明しました。本部の声明
8月28日本部が「販促に3,000万〜4,000万台湾ドルを使い、売上は7月の水準に戻った」と発表しました。本部の発表
11月9日柯氏が取材で、中国の代理店による投稿は自分が認めたものだったと話しました。本人の取材
12月25日公式サイトに載る台湾の店は110店、高雄は3店でした。上海だけで118店ありました。台湾の報道

3か月後に創業者が語った売上と閉店

柯氏は2019年11月9日の商業周刊の取材で、中国の代理店の投稿は自分が認めたものだったと話しています。本人によると、騒動の直後1週間で、台湾の店の売上は約7割減りました。中国では、配達アプリでの一芳の取り扱いを止めるという圧力があったといいます。

柯氏は、台湾で約30店が閉まったと述べました。8月5日から取材時点までに減った売上は5,000万台湾ドルを超え、加盟店と仕入先への補填には別に3,000万台湾ドルを出したと説明しています。

支援の中身は、台湾の加盟店に現金や原料を渡すことと、仕入先から原料を買い取ることでした。本人は、台湾、中国大陸、香港の業績が落ちた一方、そのほかの海外は全体として伸びたとも話しています。年末の世界の店数の見通しも、当初の2,000店超から1,600店へ引き下げました。

香港・荃湾の商業施設の中にある一芳の店。木の庇に一芳の札がある
一芳 香港・荃湾の商業施設「荃新天地」の店。香港の店はいまも公式の店舗一覧に載っている(撮影: Paihwa Yimsahi YAMO Haimaziu、2022年10月、Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)

香港では、中環街市や観塘などの店が2026年9月の公式一覧に載っています。

当社の見方

当社が見るのは、当時の店の構成です。一芳は店の8割近くが中国大陸にあり、看板には「台湾水果茶」と掲げていました。この構成では、片方の市場に向けた発信が、もう片方の市場にもそのまま届きます。しかも最初の投稿は、いちばん店の多い市場の代理店が出したものでした。代理店に任せる形では、売る仕事だけでなく、ブランドの名前で話す仕事も代理店の手に渡っていると当社は考えます。

台湾は177店から5店へ。いまは本国より日本の店が多い

本部の公式サイトの店舗一覧(2026年9月30日時点)に載る台湾の店は5店、日本の店は6店です。台湾の5店は、花蓮市の花蓮中華店、台中市の太平店、文心秀泰店、三井Outlet店、台南市の新營復興店です。日本は立川、西武新宿、雑司が谷、吉祥寺、浅草雷門、新大久保が載り、創業の地の台湾より1店多くなっています。

台北、新北、高雄の店は一覧に載っていません。2019年12月の110店から今の5店になるまでの、年ごとの店数は公開資料に出ていません。

台湾では出店先ごとにメニューを分けている

一芳は2025年3月、台中の三井Outlet店限定で、カフェインを含まない穀物茶を発表しました。そば、玄米、バラの花びらなどを使ったお茶で、牛乳を合わせる商品も案内しています。

本部は同年6月には、桂花とパイナップルを使った新商品を発表しています。2026年5月には、一般店、百貨店、三井Outlet店の3種類のメニューを公開しました。

閉店の告知と、新しい国への出店が続く

米国のグレンデール店は2024年7月に閉店しました。本部は2026年3月、残っている同店のサイトやSNSは本部と無関係だと告知しています。タイの店は、2024年10月20日が最終営業日でした。

本部は、一芳の事業を代理していた2社について、今後は一芳の事業を代表・運営しないと告知しています。Nextstep Holdingsについては2025年6月と8月、One Time Limited Holdingsについては2026年6月の告知です。

一芳は2026年7月8日、サウジアラビアのリヤドに新しい店を開いています。開店式の様子は、サウジアラビアにある台湾の代表機関が伝えています。この店は、9月末の本部の店舗一覧にはまだ載っていません。

当社の見方

本国の店数だけを見ると、一芳は勢いを失ったブランドに見えます。実際には、本部の店舗一覧に米国、フィリピン、英国、フランス、香港、日本の店が載り、2026年にも中東と東京で新しい店が開いています。代理店に任せる形のブランドでは、本国の店が減っても、海外の店が同じように減るとは限りません。日本の飲食店が海外ブランドへの加盟を考えるとき、当社なら「本国にいま何店あるか」と「本部の告知欄に、代理店との関係終了が何回出ているか」を先に見ます。

日本の一芳。2017年の浅草から、いま東京に6店

日本の一芳は、2017年12月22日から浅草で行った4日間のプレオープンで始まりました。正式な開店は翌2018年2月の予定と報じられました。当時の日本総代理店は永達セラビ株式会社で、その代表は「1年以内に東京で5店」と話していました。

2019年8月には、東京の加盟店は5店になっていました。柯氏は当時、2020年までに日本で50店になるという見込みを話しています。2026年9月の本部の一覧に載る日本の6店は、いずれも東京都内にあります。

いま公式一覧に載っている6店

店場所開店
新大久保新宿区大久保1丁目2019年5月
浅草雷門台東区雷門2丁目2021年6月
吉祥寺・御殿山武蔵野市御殿山1丁目2022年8月
雑司が谷豊島区雑司が谷2丁目2023年5月
西武新宿新宿区百人町1丁目2024年1月
立川立川市曙町2丁目、フロム中武1階2026年2月

閉店した店

店開店閉店
浅草・最初の店2017年12月プレオープン。浅草1丁目閉店時期は不明
新宿・新宿3丁目2018年4月までに開店閉店時期は不明
渋谷・道玄坂—2021年ごろまでに閉店
吉祥寺・本町2019年8月。ハモニカ横丁側2021年2月上旬
大阪・心斎橋2019年8月2020年11月30日
東京・麻布十番—2021年5月末に閉店予定と掲示。浅草雷門への移転を案内
金沢・香林坊アトリオ2020年10月2023年9月24日

関西では吹田と芦屋にも店が開きました。関西の公式Instagramのプロフィールには、2021年12月26日で閉店したと書かれています。いまの公式一覧に関西の店はありません。

浅草と吉祥寺は「閉店」と書かれることがありますが、閉まったのはどちらも最初の店です。今の浅草雷門店と吉祥寺の店は、別の住所に開いた店です。最初の浅草の店は浅草1丁目にあり、今の浅草雷門店は雷門2丁目にあります。吉祥寺も、最初の店は本町1丁目、今の店は御殿山1丁目です。御殿山の店には、2026年5月に来店した人の口コミもあります。

立川店は2026年2月21日、立川のフロム中武1階に開店しました。店頭には一芳フルーツティー650円の表示があり、3月に買った人の記録でも同じ650円でした。

当社の見方

閉まった店は新宿3丁目、渋谷の道玄坂、麻布十番、心斎橋、香林坊で、どれも各都市の繁華街や人通りの多い商店街にありました。いま続いている店は、新大久保と西武新宿のほか、雑司が谷、吉祥寺の御殿山、立川にあります。住宅地に近い通りや、毎日使う駅のそばです。日本の一芳は店を増やしたというより、タピオカブームのころの繁華街から、近くで暮らす人や毎日駅を使う人のいる場所へ店を置き直したと当社は考えています。浅草雷門の店は、観光地で続いている店です。

日本の運営会社はどこか。商標は台湾の本部が持っている

日本進出時の総代理店は永達セラビ株式会社で、国内のFC募集には株式会社YIF Internationalの名前が出ています。日本の一芳の商標を持つのは台湾本部の墨力國際です。「一芳 運営会社」の検索で出てくるFANG DREAM COMPANYは銀座八芳などを運営する別の会社で、フルーツティーの一芳とは関係がありません。

日本の会社の所在地と加盟募集

国税庁の法人番号公表サイトの変更履歴では、永達セラビの法人番号の指定日は2017年9月11日です。浅草でプレオープンする3か月前に当たります。本店は台東区の蔵前、新宿1丁目を経て、2019年12月から2022年10月まで新宿3丁目35番11号に置かれていました。この番地は、一芳の新宿の店があった場所と同じです。現在の本店は荒川区西日暮里にあります。

YIF Internationalの法人番号の指定日は2020年3月12日で、そのときの所在地は豊島区南池袋でした。同じ月の30日に本店を台東区浅草6丁目へ移し、12月28日に南池袋へ戻しています。

YIF Internationalは、加盟募集の掲載ページで一芳の国内FCオーナーを募っていました。掲載ページには台湾での研修12日間、開店の支援14日間とあり、現在は募集を終えています。2020年の日経フランチャイズ・ショーの出展予定の一覧にも「YIF International(台湾)」の名前で一芳が載っていましたが、この年の展示会は中止になりました。

FCの比較サイト「たっぷフーズ」は、加盟金300万円、ロイヤリティ4%、契約3年、開業資金1,000万円からと紹介しています。いつの時点の条件かは書かれておらず、募集要項の原本も示されていません。

商標の出願は日本進出の約1年前

J-PlatPatに載る日本の「一芳台湾水果茶」の図形入り商標は2件で、権利者はいずれも墨力國際です。飲食物の提供に関わる第43類は2016年12月28日に出願され、2017年8月10日に登録されています。登録番号は5972308です。

茶や小売に関わる第30類・第35類の商標は、2018年1月22日に出願され、同年10月19日に登録されました。こちらの登録番号は6090664です。第43類の出願は浅草のプレオープンの約1年前で、台湾で一芳を始めた2016年のうちに、日本でも商標が出願されていました。

永達セラビとYIF Internationalの関係や、日本の窓口がいつ移ったのかは、公開資料に出ていません。金沢の店は、地元の事業者が自分の事業として開いた店でした。日本で店を出す会社や加盟募集の主体が複数ある一方、看板の商標は台湾の本部の名義で登録されています。

飲食店が持ち帰れること

看板にする品目をひとつ決める

一芳は、代表になるブランドがまだ無かったフルーツティーを看板に選びました。2017年3月時点のメニューは30品未満でした。看板商品にはブランドと同じ「一芳水果茶」という名前を付けています。

日本の店に置き換えるなら、「うちの看板は、どの品目の代表なのか」をひとつ決めるところから始まります。フルーツティーを看板にするなら、その1杯をメニューの先頭に置き、店頭でも同じ名前で案内するとよいでしょう。当社は、商品を増やすのは、注文してほしい1杯と店名が結び付いてからでよいと考えます。

加盟資料に、日付のある店舗一覧を添える

一芳の本部サイトには、台湾5店の一覧と、代理店との関係終了を知らせる3回の告知があります。一方、日本語の古い店舗紹介には、世界で数百店、千数百店と広がっていた時期の数字が残っています。

海外ブランドの加盟資料は、店数がいちばん多かった時期の数字で作られていることがあります。加盟を検討するときは、説明会でもらった資料と一緒に、見た日付を添えた公式の店舗一覧と本部の告知を残しておくと安心です。公式一覧と告知欄は無料で読めるので、契約の前にもう一度見直せます。

ブランドの名前で発信する人と、承認する人を決める

2019年8月の最初のSNS投稿は、中国の代理店が出したものでした。台湾本部の広報が説明したのはその日の夜で、本部としての声明は翌日でした。

当社は、複数店やFC、業務委託でSNSを動かす店ほど、投稿できる人と承認する人を紙に書いておくことを勧めます。各店が自分で出せる内容、本部への連絡が必要な内容、急ぎのときの連絡先まで決めておくと安心です。

輸入する茶葉が届いても使えない場合を考える

厚生労働省の2021年11月の公表資料によると、台湾産ウーロン茶3件から農薬カルバリルが日本で認められる上限の0.01ppmを超えて検出され、台湾産ウーロン茶とその加工品は全ロットの検査が義務づけられました。同省は、検出された濃度の茶を毎日飲み続けても健康への影響はないと説明しています。

小さな店が茶葉を直接輸入すると、届いた茶葉が検査で止まり、使えない週が出ることがあります。届く予定の茶葉だけで看板商品を組んでいると、その間は販売を休むことになります。当社は、国内で検査を通った業務用の茶葉や濃縮茶を使うほうが、メニューを止めずに済むと考えます。

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一芳のフルーツティーは何でできているか。業務用で再現するなら

一芳のフルーツティーは、お茶にフルーツソースとカットした果物を合わせる飲み物です。一芳は、台湾の旬の果物をその場で切って入れ、秘伝のフルーツソースで甘みを付けると説明しています。

パイナップルのソースは本部で作って運ぶ

当時のブランド責任者の2018年の説明では、土鳳梨という台湾の在来種のパイナップルと、砂糖を煮たシロップ、フルーツソースを本部のセントラルキッチンで煮合わせ、低温のまま各店へ運んでいました。ほかの果物も、本部がまとめて買って店に届ける形です。

米国バークレーの店では、果物は地元で仕入れ、スタッフが店で切って分量を量っていました。パイナップルとパッションフルーツの味付けに使う材料は、台湾の本部からの輸入です。

公式サイトが推す商品は、一芳水果茶、冬瓜茶とレモンを合わせる冬瓜檸檬露、黒糖タピオカミルクの黑糖粉圓鮮奶、サトウキビと青茶を合わせる白甘蔗青茶、パイナップルと緑茶の金鑽鳳梨綠です。

一芳の米国ポートランドの店の卓上メニュー。ミルクティー、伝統茶、フルーツティー、スムージー、エッグパンケーキの区分が並ぶ
一芳 米国オレゴン州ポートランドの店のメニュー。フルーツティーの先頭が看板の一芳フルーツティー(撮影: Another Believer、2025年4月、Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)

ポートランドのメニューは、ミルクティー、伝統茶、フルーツティー、スムージー、エッグパンケーキの5区分です。伝統茶の欄には、日月潭紅茶、松柏嶺の茶、包種茶、鹿谷の烏龍が各5.00ドルで並び、商品名に台湾の産地が入っています。

同じメニューのトッピングは11種で、タピオカ、サゴ、仙草ゼリー、ライチゼリー、プリン、愛玉、アロエ、小豆、紫米、こんにゃく、チーズクリームがあります。フルーツティーの欄には、パイナップル、パッションフルーツ、愛玉を使う商品も載っています。

一芳フルーツティーの価格は、2017年の浅草で600円、2026年2月の立川の開店時には650円でした。2025年4月に撮影されたポートランドのメニューでは6.50ドルです。台湾の太平立智店は、2026年9月に見た配達アプリの表示で、Mが70台湾ドル、Lが80台湾ドルでした。

一芳の飲み物に使う素材には、青茶や緑茶、紅茶、パイナップルのソース、パッションフルーツ、カットした旬の果物があります。冬瓜茶をレモンに合わせる商品や、黒糖のタピオカを牛乳に合わせる商品もあり、サゴや愛玉はトッピングとして使われています。

当社の見方

チェーンでフルーツティーの味をそろえる鍵は、果物よりもソースにあると当社は考えます。2018年の取材では、一芳は味の芯になるソースを本部でまとめて作り、低温で店へ運んでいました。店の仕事は、果物を切ってお茶と合わせることです。日本の店が似た商品を作るときも順番は同じで、先にソースとお茶を決め、果物は季節と仕入れに合わせて替えるのがおすすめです。

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よくある質問

一芳はどう読みますか?
「イーファン」と読みます。一芳は創業者の祖母の名前で、祖母が煮ていたパイナップルのソースの作り方を受け継いだブランドです。店名は「一芳台湾水果茶」で、水果茶は中国語でフルーツティーを意味します。
一芳はどこの国の店ですか?
台湾の店です。一芳は2016年に台中で始まったフルーツティーのブランドで、創業者は柯梓凱氏です。運営会社は台中市西屯区の墨力國際股份有限公司で、同社の設立日は2013年9月5日です。
一芳は日本に店舗がありますか?
日本にも店舗があります。2026年9月30日時点の本部公式一覧には、東京の立川、西武新宿、雑司が谷、吉祥寺、浅草雷門、新大久保の6店が載っています。立川店は2026年2月に開店しました。
一芳は日本から撤退したのですか?
一芳は日本で続いています。閉店情報があるのは浅草と吉祥寺の最初の店や、新宿、渋谷、心斎橋、金沢などの店です。2026年2月21日には、立川のフロム中武1階に新しい店が開きました。
一芳の運営会社はどこですか?
台湾の本部は墨力國際股份有限公司です。日本では2017年に永達セラビ株式会社が総代理店を務め、国内のFC募集には株式会社YIF Internationalの名前が出ています。日本の商標は墨力國際が持っています。
一芳の店舗数はいくつですか?
2026年9月の本部公式一覧には台湾5店、日本6店が載っています。2019年2月の世界の店数は1,243店で、台湾177店、中国大陸986店、そのほかの海外80店という内訳でした。
一芳のフルーツティーはいくらですか?
立川店では2026年2月の開店時に650円と表示され、同年3月の購入記録も650円でした。2017年の浅草の店では600円です。ポートランドの2025年4月のメニューには6.50ドルと載っています。
参考にした資料(19項目。別タブで開きます)
執筆者 神戸慧士の顔写真
執筆: 神戸 慧士(マルイ物産 データ分析)
数字はすべて公開資料からの引用で、当社の見方は「当社の見方」と明記した部分に限っています。写真はいずれもWikimedia Commonsのクリエイティブ・コモンズ写真(実物の店舗とメニュー)です。
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