台湾かき氷(雪花冰)の作り方。ふわふわになる氷の条件と、普通のかき氷との違い
氷そのものに味が付いていて、削ると薄い帯のように重なります。なぜそうなるのか、家でも店でも再現するには何が必要か、シャリシャリになってしまう原因はどこにあるのかを順に整理しました。
台湾かき氷(雪花冰)は、牛乳や果汁で味を付けた氷を、薄く削って作るかき氷です。水の氷にシロップをかける日本のかき氷とは、氷の中身から違います。台湾では雪花冰(シュエファービン)と呼び、日本では台湾かき氷やスノーアイスの名前で広まりました。
作り方自体は「味を付けて凍らせて削る」だけですが、家で真似するとシャリシャリになって台湾で食べたものと違う、という声が多い食べものでもあります。理由は氷の中身と削るときの温度にあり、知っていれば避けられます。この記事では、仕組みから順に説明します。
台湾かき氷(雪花冰)とは。普通のかき氷との違い
台湾のかき氷は、氷の作り方で大きく2つに分かれます。ひとつは水を凍らせた氷を削り、上にトッピングとシロップをのせる剉冰(ツォビン)で、日本のかき氷に近いものです。もうひとつが、牛乳や果汁を混ぜて凍らせた味付きの氷を薄く削る雪花冰(シュエファービン)です。日本で「台湾かき氷」と呼ばれているのは、ほとんどがこちらの雪花冰を指しています。
呼び方を先に整理しておきます。台湾の現地では雪花冰、日本の専門店では台湾かき氷、業務用の食材や機械の世界ではスノーアイスと呼ばれることが多く、この3つはすべて同じものです。メニューに載せるなら「台湾かき氷」がいちばん伝わり、台湾らしさを出したいときは雪花冰の字を添える形がよく使われます。
| 雪花冰(台湾かき氷) | 剉冰 | 日本のかき氷 | |
|---|---|---|---|
| 氷の中身 | 牛乳や果汁で味を付けた氷 | 水の氷 | 水の氷 |
| 味の付け方 | 氷そのものに味がある | 上からシロップと具 | 上からシロップ |
| 削り方 | 薄い帯状。ひらひらと重なる | 細かい粒状 | 粒状から粉状まで店による |
| 食感 | 雪のようにほどけてなめらか | シャリシャリ | シャリシャリからふわふわ |
| 定番の組み合わせ | マンゴー、黒糖タピオカ、小豆 | 小豆、タロ芋、仙草、粉粿 | いちご、宇治金時、練乳 |
台湾ではこのほかに、アイスクリームマシンで作る綿綿冰(ミェンミェンビン)、削った氷にシロップを練り込んでシャーベット状にした泡泡冰(パオパオビン)、凍らせた果物をそのまま砕いた冰沙(ビンシャー)もあります。ただ日本の店で扱うなら、まず雪花冰と剉冰の2つを区別できていれば十分です。
成り立ちを台湾側の資料で確認しておくと、水の氷を削る剉冰は、日本統治時代に製氷技術が伝わって始まった台湾でいちばん古いかき氷です。雪花冰のほうは、台湾の農業部が運営する農業知識サイトの記事によると1970年に高雄で生まれ、翔美食品という会社が専門店として広めました。最盛期には台湾全土で300店に達し、その後シンガポールやオーストラリアにも出ています。日本で専門店が増えたのは2010年代に入ってからなので、台湾では半世紀の歴史がある食べものです。
なぜふわふわになるのか。氷に味が付いている理由
雪花冰がふわふわになるのは、削り方が上手だからではなく、氷の中身が違うからです。水だけを凍らせた氷は、水の分子が規則正しく並んだ硬い結晶になります。これを削ると、結晶の境目で割れて粒になり、シャリシャリした食感になります。
いっぽう牛乳と砂糖を混ぜて凍らせた氷には、乳脂肪と糖が入っています。糖は水の凍る温度を下げ、氷を完全にはカチカチにしません。乳脂肪とたんぱく質は氷の結晶の間に入り込んで、結晶が大きく育つのを邪魔します。その結果、細かい結晶がやわらかくつながった氷になり、刃を当てると割れずに薄い帯のようにつながって削れます。口に入れると脂肪がとけて、雪のようにほどける食感になります。
台湾のかき氷機メーカーやブロック製造元の技術解説でも、説明は同じです。糖は氷点を下げて氷をやわらかくし、少なすぎると結晶が粗く硬くなる。乳脂肪が多いほど結晶が細かく、なめらかになる。業務用のブロックにはこれに少量の安定剤(乳化剤や増粘剤)を加えて、脂肪と水が分離せず、結晶が大きく育たないようにしています。
もうひとつ、凍らせる速さも関係します。台湾の製造元は、殺菌した液を均質化してから急速冷凍します。凍るのが遅いと水分だけが先に凍って粗い結晶になるためで、家庭の冷凍庫(マイナス16℃前後)ではここが限界になります。家で作る氷がどうしても店のものより粗くなるのは、材料より凍らせ方の差が大きいです。
ここが分かると、家で失敗する理由も見えてきます。牛乳だけで砂糖を控えると水の氷に近づいてシャリシャリになり、冷凍庫から出した直後の硬い状態で削ると割れて粒になります。台湾の店が氷をブロックごと専用の機械にセットし、回転させながら薄い刃で削っているのも、この氷の性質を活かすためです。次の章で実際の手順を見たあと、原因を表で整理します。
基本の作り方。牛乳500mlと練乳80g
材料は牛乳と練乳、砂糖だけです。分量は複数のレシピで共通している幅から、牛乳500mlに練乳80g前後を基本にしました。練乳を60gまで減らすとあっさり、100gまで増やすとコクが出ますが、減らしすぎると削れ方が水の氷に近づきます。台湾の新聞のレシピ欄に載っている家庭版は、全脂牛乳200mlに練乳50g、生クリーム30ml、砂糖10g、塩2gという配合で、練乳と脂肪でコクを足す考え方は同じです。生クリームを足すとより店の味に寄ります。
材料(約2〜3人分)
- 牛乳 500ml
- 練乳 80g
- 砂糖 20g
- トッピング(マンゴー、黒糖タピオカ、ゆで小豆など) 適量
手順
- 牛乳と練乳を混ぜるボウルに牛乳500mlと練乳80g、砂糖20gを入れ、練乳の塊が残らないようによく混ぜます。味見をして、少し甘すぎると感じるくらいがちょうどよい濃さです。
- 容器に入れて凍らせるかき氷機に合う製氷カップか、浅めの保存容器に注ぎ、冷凍庫の設定をいちばん低くして8時間以上凍らせます。液の層が薄いほど早く凍り、結晶が細かくなります。
- 削る前に少しゆるめる凍った氷を冷凍庫から出し、5分から10分ほど室温に置きます。カチカチの状態で削ると割れて粒になるので、表面がわずかにゆるむまで待ちます。
- 薄く削るかき氷機の刃をいちばん薄い設定にして、ゆっくり回して削ります。帯のように薄く、ひらひらと重なって落ちれば成功です。器に山になるように受けます。
- トッピングをのせる削った氷が溶ける前に、マンゴーや黒糖タピオカ、ゆで小豆などをのせ、練乳や果物のソースをかけてすぐに出します。
かき氷機がない場合は、保存袋に入れて凍らせ、途中で袋ごと揉みほぐしてもう一度凍らせる方法もあります。ただしこれは細かい粒のシャーベットに近い仕上がりで、帯状に削れる雪花冰の食感にはなりません。同じ材料でも、削る道具で別の食べものになります。
シャリシャリになる5つの原因と直し方
「作ってみたけれど台湾で食べたものと違う」というときの原因は、ほぼ次の5つに絞られます。上から順に多いものです。
| 原因 | 何が起きているか | 直し方 |
|---|---|---|
| 氷が硬すぎる | 冷凍庫から出した直後で、刃が入らず割れている | 削る前に5〜10分室温に置く |
| 糖と脂肪が足りない | 牛乳だけ、砂糖控えめで水の氷に近い | 練乳を入れる。砂糖を減らしすぎない |
| 刃が厚い | 粒で落ちて帯にならない | 刃をいちばん薄い設定にする |
| 凍るのが遅い | 水分が先に凍って結晶が粗くなる | 浅い容器に入れ、冷凍庫を強にして早く凍らせる |
| 削ってから時間がたった | 脂肪と糖で溶けやすく、水っぽくなる | 削ったらすぐ出す。器を冷やしておく |
いちばん見落とされやすいのは最初の温度です。雪花冰の氷は糖と脂肪が入っているぶん、水の氷より低い温度で凍っていて、冷凍庫から出した直後は刃が入りません。表面がわずかにゆるむまで待ってから削るだけで、削れ方がはっきり変わります。
温度の見極め方は、台湾の雪花冰の製造元が「まず温度、次に刃」と言っているとおりです。低すぎると削った氷が丸まったり糸状になり、高すぎると泥のようにべたつきます。帯状にひらひらと落ちる温度帯を探してください。刃については、台湾のかき氷機メーカーの解説では刃の角度、鋭さ、水平の3つが薄さを決めるとされていて、営業日は毎日、少なくとも週に2回は研ぐよう勧めています。ブロックは台の中央に置かないと回転がぶれて片側だけ削れます。
次に多いのが材料の配分です。甘さを控えようとして砂糖も練乳も減らすと、氷の性質が水に近づいてシャリシャリになります。甘さは氷で決めるのではなく、氷はしっかり甘くしておいて、トッピングとかける量で全体を調整すると考えると失敗しません。削った氷は空気を含んで体積が増えるので、氷単体で味見したときより口に入れたときの甘さは軽く感じます。
トッピングの組み立て。台湾の定番と日本で作れる組み合わせ
台湾でいちばん有名なのは、ミルク味の氷にマンゴーをたっぷりのせた芒果雪花冰(マンゴー雪花冰)です。角切りのマンゴーにマンゴーソースをかけ、上にマンゴーのアイスをのせる今の形は、台湾の農業部の記事によると1997年に台北の永康街の店が始めたものです。ただ台湾の店に行くと、氷の味もトッピングも組み合わせは自由で、ミルク、マンゴー、いちご、抹茶、ミルクティー、黒糖など氷の味だけでも十種類以上並んでいる店が珍しくありません。
組み立て方の基本は、氷の味を1つ決めて、食感の違うものを2つまでのせることです。氷がなめらかなので、もちもちしたもの、粒のあるもの、果肉のあるものを合わせると、口の中で対比ができます。日本で用意しやすい組み合わせをまとめました。
| 氷の味 | 合わせるもの | 仕上げ | 台湾での呼び名 |
|---|---|---|---|
| ミルク | 角切りマンゴー、マンゴーソース | 練乳 | 芒果雪花冰 |
| ミルク | 黒糖タピオカ、ゆで小豆 | 黒糖シロップ | 黒糖珍珠雪花冰 |
| ミルク | 仙草ゼリー、芋圓 | 黒糖シロップ | 仙草芋圓雪花冰 |
| 抹茶 | ゆで小豆、白玉 | 練乳 | 抹茶紅豆雪花冰 |
| いちご | いちごソース、ナタデココ | 練乳 | 草莓雪花冰 |
マンゴーは生の果実が手に入る時期が限られるので、日本の店では冷凍の角切りマンゴーやフルーツソースで通年出しているところが多いです。黒糖タピオカや仙草ゼリー、芋圓は、豆花にのせるものとそのまま共通なので、台湾スイーツを何品か出す店なら仕込みを共有できます。仙草や芋圓そのものについては、仙草ゼリーの記事と芋圓の記事で作り方まで書いています。
店で出すなら。業務用の3つの形と1杯の原価の目安
店で雪花冰を出すときの選択肢は、氷をどう用意するかで3つに分かれます。それぞれ機械も仕込みも違うので、先に形を決めてから道具をそろえるほうが無駄がありません。
| 形 | 氷の用意 | 削る機械 | 向いている店 |
|---|---|---|---|
| 自家製の味付き氷 | 牛乳と練乳を混ぜて店で凍らせる | ブロック氷対応のかき氷機 | 味を自分で決めたい店。仕込みの手間と冷凍庫の場所がいる |
| 業務用の味付き氷ブロック | 1.5〜2.5kgの冷凍ブロックを仕入れる | ブロック氷対応のかき氷機 | 回転数の多い店。味が安定し、仕込みが不要 |
| 個食カップの冷凍氷 | 1杯分ずつカップに入った冷凍品を仕入れる | カップ専用の削り機 | ロスを出したくない店、キッチンカー、イベント |
業務用ブロックの中身は、台湾の製造元の原材料表示を見ると水、粉乳、砂糖、食塩といった構成が一般的で、1本約2.5kg、高さ15cmの円柱が一例です。生乳でなく粉乳で作るのは保存性とコストのためだと、製造元自身が書いています。牛乳と練乳で作る家庭の氷とは、脂肪の入れ方と凍らせ方が違うだけで、考え方は同じです。
原価の目安を、スーパーで買える一般的な価格で試算します。牛乳1リットル250円、練乳1本(120g)150円として、基本の分量(牛乳500mlと練乳80g、砂糖20g)を作ると材料費は約230円です。これで約600gの氷ができ、1杯に200gの氷を使うとすると氷の材料費は1杯あたり約80円になります。ここにトッピングとソースが加わるので、マンゴーをのせれば1杯150〜250円、黒糖タピオカと小豆なら120〜180円あたりが目安です。
業務用の個食カップは、1杯分ずつ凍った状態で届くので仕込みがいらず、削った分だけ使うのでロスが出ません。たとえば当店で扱っているミルク風味の個食タイプ(140ml)は90個入りの販売価格が12,636円(税込)で、1杯の氷代は約140円です。自家製より氷代は高くなりますが、仕込みの人件費と冷凍庫の場所、溶けて捨てる分を考えると、回転数が読めない店やイベントではこちらのほうが安く収まることもあります。
機械については、自家製と業務用ブロックはブロック氷を回転させて削るタイプのかき氷機が必要で、家庭用の手回し機ではブロックが入りません。個食カップは専用の小型機で削ります。どちらも刃の出方を薄く調整できることが条件で、氷を削る直前に少しゆるめる手順は業務用でも同じです。
この記事に出てきた個食タイプのスノーアイスと専用の削り機、トッピング用のフルーツソースは、業務用サイズで仕入れられます。FOODBOATは飲食店専門の食材通販です。仕込みなしで台湾かき氷を出せる素材を、ケース単位で販売しています。
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