仙草ゼリーとは?作り方と燒仙草・仙草茶の違い、業務用の選び方
台湾の黒いゼリーの正体を、味・3つの形・作り方・亀ゼリーとの違い・飲食店で使うときの形態まで、ひととおり整理しました。
仙草(センソウ)は、シソ科の植物「仙草」の茎と葉を乾燥させて煮出し、その黒い液を固めた台湾の伝統的なスイーツです。ほのかな薬草の香りとほろ苦さがあり、黒糖シロップやミルクをかけて食べます。
読み方は日本では「センソウ」、中国語では「シェンツァオ(xiāncǎo)」に近い音です。冷たく固めた仙草ゼリー、温かいとろみのある燒仙草(焼仙草。シャオシェンツァオ)、飲む仙草茶の3つの形があり、台湾では夏と冬で食べ分けます。日本でも台湾カフェのメニューやカルディの缶詰で見かけるようになりましたが、「黒くて薬っぽい」という印象で止まっている人が多い食べものでもあります。この記事では、何でできているか、どんな味か、どう使い分けるかを順に説明します。
仙草とは。シソ科の植物を煮出した黒いゼリー
仙草は、中国南部と台湾で栽培されているシソ科の植物です。学名はPlatostoma palustre(以前はMesona chinensisと呼ばれていました)で、台湾では新竹県の関西鎮や苗栗県など、客家の人たちが多く住む地域が産地として知られています。
食べるのは葉ではなく、乾燥させて黒くなった茎と葉を長時間煮出した液です。煮出すときに重曹などのアルカリを少し加えると、植物に含まれる多糖類が溶け出し、冷やすと自然にゼリー状に固まります。市販の仙草ゼリーは、これにでんぷんを加えてしっかり固めたものです。原材料表示を見ると「仙草エキス(仙草、小麦でん粉)、砂糖」のように書かれています。
台湾では夜市や豆花の店、ドリンクスタンドのどこにでもある日常の食べもので、豆花やかき氷のトッピングとしても定番です。仙草ゼリーは「仙草凍(シェンツァオドン)」、温かい形は「燒仙草」と呼び分けます。英語では grass jelly と呼ばれ、ベトナムでは sương sáo、インドネシアやマレーシアでは cincau の名前で同じ植物のゼリーが食べられています。
味と食感。ほろ苦さの正体と、苦みを消す食べ方
味をひとことで言うと、コーヒーゼリーに近いほろ苦さに、薬草の香りが加わったものです。ゼリー自体に甘みはほとんどなく、苦みも強くはありません。「漢方薬のような味」と説明されることがありますが、亀ゼリーのようなはっきりした苦さとは違い、香りとして感じる程度です。
食感は、専門店のものはやわらかくて口の中でほどけ、缶詰のものはやや固めで角が立ちます。でんぷんの量で変わるので、手作りなら好みに調整できます。
苦みが気になる人向けの食べ方は決まっています。
- 黒糖シロップをかける。いちばんの定番で、黒糖のコクが香りと合います
- ミルクやコーヒーフレッシュをかける。台湾のカフェでは仙草ゼリーにミルクをかけた「仙草奶凍」風の出し方が一般的です。苦みがまろやかになります
- はちみつとレモン。香りが軽くなり、夏向きです
- タピオカやピーナッツ、小豆と合わせる。食感と甘みが足されて、ゼリー単体より食べやすくなります
3つの形。仙草ゼリー・燒仙草(焼仙草)・仙草茶の違い
同じ煮出し液から、固めるか、とろみで止めるか、そのまま飲むかで3つの形になります。メニューで見かける名前と一緒に整理します。
| 形 | 中国語の名前 | 状態 | 季節 | 合わせるもの |
|---|---|---|---|---|
| 仙草ゼリー | 仙草凍(シェンツァオドン) | でんぷんで固めて冷やした角切り | 夏 | 黒糖シロップ、ミルク、かき氷、豆花のトッピング |
| 燒仙草 | 燒仙草(シャオシェンツァオ) | とろみをつけた温かい液体。固まる前の状態 | 冬 | 芋圓、ピーナッツ、小豆、タピオカ、湯圓 |
| 仙草茶 | 仙草茶(シェンツァオチャ) | 煮出し液をそのまま、または薄めて飲む | 夏が中心 | 無糖か加糖。冷やして飲む |
燒仙草の「燒」は焼くという意味ではなく、中国語で「熱い」という意味です。冬の台湾では、屋台や豆花の店で燒仙草の列ができます。豆花と同じで、温かい形と冷たい形の両方があるので、飲食店にとっては夏冬でメニューを落とさなくていい素材です。
作り方。乾燥仙草から煮出す台湾式と、粉末の素で作る方法
作り方は2通りあります。乾燥した仙草から煮出す方法と、粉末の「燒仙草の素」を湯で溶く方法です。まず本格的なほうから。
乾燥仙草から作る(台湾式・でんぷんで固める)
市販のレシピにはゼラチンで固めるものもありますが、台湾の専門店はでんぷんで固めます。とろみを残せば燒仙草に、冷やせば仙草ゼリーになるので、1回の仕込みで両方作れます。分量は家庭でよく使われる目安です。
材料(約1.5L、8〜10人分)
- 乾燥仙草 50g
- 水 2L
- 重曹 小さじ1/2(多糖類が溶け出しやすくなります。無くても作れます)
- 片栗粉 大さじ4(約40g)
- 水 100ml(片栗粉を溶く用)
- 黒糖シロップ 適量
- 仙草を洗って浸す乾燥仙草をさっと水で洗い、水2Lと重曹小さじ1/2と一緒に鍋に入れて30分ほど置きます。
- 2時間煮出す沸騰したら弱火にして、蓋をして約2時間煮出します。煮汁が黒く濃くなり、香りが立ってきたら火を止めます。
- 漉す目の細かいザルかさらしで煮汁を漉し、仙草を軽く絞ります。煮汁は約1.5Lになります。
- でんぷんでとろみをつける片栗粉大さじ4を水100mlで溶き、煮汁を再び火にかけて混ぜながら加えます。ひと煮立ちして全体にとろみがついたら火を止めます。
- 冷やし固める容器に移して粗熱を取り、冷蔵庫で3時間以上冷やします。角切りにして黒糖シロップをかけて完成です。温かいまま器に注ぎ、トッピングをのせれば燒仙草になります。
粉末の「燒仙草の素」で作る
台湾の産地である関西鎮の農会などが「即溶燒仙草」という粉末を出していて、1袋(10g)に熱湯200mlを注いで混ぜ、3〜5分置くだけで燒仙草ができます。原材料は砂糖、でんぷん、乾燥仙草、炭酸ナトリウムで、煮出しの工程が済んだ状態です。冷やせば仙草ゼリーにもなります。忙しい店ではこちらが現実的で、日本でも台湾食品の通販で手に入ります。
仙草ゼリーと亀ゼリー(亀苓膏)の違い
黒いゼリーというと、香港の亀ゼリー(亀苓膏、グイリンガオ)と混同されがちです。「仙草亀ゼリー」とひとまとめに呼ばれることもありますが、見た目が似ているだけで別物です。
| 項目 | 仙草ゼリー | 亀ゼリー(亀苓膏) |
|---|---|---|
| 原料 | シソ科の植物「仙草」の茎と葉 | 土茯苓などの生薬。本来は亀の甲羅(亀板)も使う |
| 主な地域 | 台湾、中国南部 | 香港、広東 |
| 味 | 香りのあるほろ苦さ。コーヒーゼリーに近い | はっきりした苦み。薬らしい味 |
| 位置づけ | 日常のおやつ、かき氷や豆花のトッピング | 涼茶店で出す薬膳デザート |
| 温かい形 | 燒仙草として冬の定番 | 基本は冷たい。温かく出す店もある |
日本のメニューで「仙草ゼリー」と「亀ゼリー」が別に書かれていたら、食べやすいのは仙草のほうです。初めての人に出すなら仙草から、と覚えておけば間違いありません。
効能について。台湾でどう扱われているか
仙草は、中国医学では体の熱を取り、喉の渇きを癒す食べものとされてきました。台湾で夏に仙草ゼリーや仙草茶が食べられるのはこの位置づけからで、冬の燒仙草は「体を温める」というより、寒い時期に温かい甘味として定着したものです。
ただし、これは伝統的な扱いであって、健康効果を保証するものではありません。この記事でも効能は伝聞として書いています。飲食店でメニューに載せるときも、「台湾では夏バテのときに食べられてきた」のように、文化として紹介するのが安全です。
飲食店で仙草を出すなら。業務用の形態と原価の目安
ここからは飲食店・カフェの方向けです。仙草は仕入れの形態が4つあり、オペレーションと原価で選び方が変わります。
| 形態 | 規格の例 | 下処理 | 向いている店 |
|---|---|---|---|
| 缶詰の仙草ゼリー | 255g、540g、2.8kg | 開けて切るだけ。常温で長期保存できる | トッピングに少量使う店。かき氷、豆花、ドリンク |
| 仙草の原液 | 980ml、2.8L | でんぷんで固めるか、薄めて仙草茶に | 仙草ゼリーと燒仙草の両方を出す店 |
| 燒仙草の素(粉末) | 10g×12袋など | 熱湯200mlで溶く。1袋1杯 | 冬に燒仙草を単品で出す店。仕込みなし |
| 乾燥仙草 | 50g〜 | 2時間煮出す。仕込みが必要 | 専門店。味と固さを自分で決めたい店 |
原価の目安
日本の輸入食品店の小売価格で試算します。業務用の仕入れならこれより下がるので、上限の目安と考えてください。
| 形態 | 小売価格の例 | 1人前の使用量 | 1人前の原価 |
|---|---|---|---|
| 缶詰の仙草ゼリー 255g | 246円 | 80g(トッピング1人前) | 約77円 |
| 燒仙草の素 10g×12袋 | 2,026円 | 1袋(1杯200ml) | 約169円 |
缶詰をトッピングに使うなら1人前80円前後で、黒糖シロップとタピオカを足しても100〜120円に収まります。豆花やかき氷に「仙草トッピング」として100〜150円で追加注文にすると、原価率は50%を切ります。燒仙草を単品で出す場合は、素の小売価格だと1杯170円前後なので、業務用の原液や乾燥仙草に切り替えたほうが利益が出ます。
メニューに組むときのコツ
- まずは缶詰でトッピングから始める。仕込みなしで、豆花・かき氷・ミルクティーの3つに同じ缶が使えます
- 冬は燒仙草に切り替える。同じ素材で温かいメニューになり、芋圓やピーナッツをのせれば単価も上がります
- 名前に読み方を添える。「仙草ゼリー(センソウ)」と書くだけで注文の心理的な壁が下がります。「台湾の黒いゼリー」のような一言説明も効きます
仙草と合わせるタピオカやトッピング材は、業務用サイズで仕入れられます。FOODBOATは飲食店専門の食材通販です。仙草ゼリーの上にのせる冷凍タピオカや、燒仙草の具になる素材を、ケース単位と混載で販売しています。
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