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仙草ゼリーとは?作り方と燒仙草・仙草茶の違い、業務用の選び方

台湾の黒いゼリーの正体を、味・3つの形・作り方・亀ゼリーとの違い・飲食店で使うときの形態まで、ひととおり整理しました。

公開日 2026年9月6日 更新日 2026年9月17日

仙草(センソウ)は、シソ科の植物「仙草」の茎と葉を乾燥させて煮出し、その黒い液を固めた台湾の伝統的なスイーツです。ほのかな薬草の香りとほろ苦さがあり、黒糖シロップやミルクをかけて食べます。

読み方は日本では「センソウ」、中国語では「シェンツァオ(xiāncǎo)」に近い音です。冷たく固めた仙草ゼリー、温かいとろみのある燒仙草(焼仙草。シャオシェンツァオ)、飲む仙草茶の3つの形があり、台湾では夏と冬で食べ分けます。日本でも台湾カフェのメニューやカルディの缶詰で見かけるようになりましたが、「黒くて薬っぽい」という印象で止まっている人が多い食べものでもあります。この記事では、何でできているか、どんな味か、どう使い分けるかを順に説明します。

角切りにした仙草ゼリーに黒糖シロップとタピオカをのせた一皿
角切りの仙草ゼリーに黒糖シロップとタピオカ。台湾の夏の定番です(写真はイメージ)

仙草とは。シソ科の植物を煮出した黒いゼリー

仙草は、中国南部と台湾で栽培されているシソ科の植物です。学名はPlatostoma palustre(以前はMesona chinensisと呼ばれていました)で、台湾では新竹県の関西鎮や苗栗県など、客家の人たちが多く住む地域が産地として知られています。

食べるのは葉ではなく、乾燥させて黒くなった茎と葉を長時間煮出した液です。煮出すときに重曹などのアルカリを少し加えると、植物に含まれる多糖類が溶け出し、冷やすと自然にゼリー状に固まります。市販の仙草ゼリーは、これにでんぷんを加えてしっかり固めたものです。原材料表示を見ると「仙草エキス(仙草、小麦でん粉)、砂糖」のように書かれています。

台湾では夜市や豆花の店、ドリンクスタンドのどこにでもある日常の食べもので、豆花やかき氷のトッピングとしても定番です。仙草ゼリーは「仙草凍(シェンツァオドン)」、温かい形は「燒仙草」と呼び分けます。英語では grass jelly と呼ばれ、ベトナムでは sương sáo、インドネシアやマレーシアでは cincau の名前で同じ植物のゼリーが食べられています。

味と食感。ほろ苦さの正体と、苦みを消す食べ方

味をひとことで言うと、コーヒーゼリーに近いほろ苦さに、薬草の香りが加わったものです。ゼリー自体に甘みはほとんどなく、苦みも強くはありません。「漢方薬のような味」と説明されることがありますが、亀ゼリーのようなはっきりした苦さとは違い、香りとして感じる程度です。

食感は、専門店のものはやわらかくて口の中でほどけ、缶詰のものはやや固めで角が立ちます。でんぷんの量で変わるので、手作りなら好みに調整できます。

苦みが気になる人向けの食べ方は決まっています。

ポイント: 缶詰の仙草ゼリーは「加糖タイプ」でも甘さは控えめです。そのまま出すと物足りないので、シロップかミルクは必ず添えます。

3つの形。仙草ゼリー・燒仙草(焼仙草)・仙草茶の違い

同じ煮出し液から、固めるか、とろみで止めるか、そのまま飲むかで3つの形になります。メニューで見かける名前と一緒に整理します。

形中国語の名前状態季節合わせるもの
仙草ゼリー仙草凍(シェンツァオドン)でんぷんで固めて冷やした角切り夏黒糖シロップ、ミルク、かき氷、豆花のトッピング
燒仙草燒仙草(シャオシェンツァオ)とろみをつけた温かい液体。固まる前の状態冬芋圓、ピーナッツ、小豆、タピオカ、湯圓
仙草茶仙草茶(シェンツァオチャ)煮出し液をそのまま、または薄めて飲む夏が中心無糖か加糖。冷やして飲む

燒仙草の「燒」は焼くという意味ではなく、中国語で「熱い」という意味です。冬の台湾では、屋台や豆花の店で燒仙草の列ができます。豆花と同じで、温かい形と冷たい形の両方があるので、飲食店にとっては夏冬でメニューを落とさなくていい素材です。

器に注いだ温かい燒仙草に芋圓とピーナッツと小豆をのせたもの
燒仙草。とろみのある温かい仙草に、芋圓やピーナッツ、小豆をのせます(写真はイメージ)

作り方。乾燥仙草から煮出す台湾式と、粉末の素で作る方法

作り方は2通りあります。乾燥した仙草から煮出す方法と、粉末の「燒仙草の素」を湯で溶く方法です。まず本格的なほうから。

乾燥仙草から作る(台湾式・でんぷんで固める)

市販のレシピにはゼラチンで固めるものもありますが、台湾の専門店はでんぷんで固めます。とろみを残せば燒仙草に、冷やせば仙草ゼリーになるので、1回の仕込みで両方作れます。分量は家庭でよく使われる目安です。

材料(約1.5L、8〜10人分)

  1. 仙草を洗って浸す乾燥仙草をさっと水で洗い、水2Lと重曹小さじ1/2と一緒に鍋に入れて30分ほど置きます。
  2. 2時間煮出す沸騰したら弱火にして、蓋をして約2時間煮出します。煮汁が黒く濃くなり、香りが立ってきたら火を止めます。
  3. 漉す目の細かいザルかさらしで煮汁を漉し、仙草を軽く絞ります。煮汁は約1.5Lになります。
  4. でんぷんでとろみをつける片栗粉大さじ4を水100mlで溶き、煮汁を再び火にかけて混ぜながら加えます。ひと煮立ちして全体にとろみがついたら火を止めます。
  5. 冷やし固める容器に移して粗熱を取り、冷蔵庫で3時間以上冷やします。角切りにして黒糖シロップをかけて完成です。温かいまま器に注ぎ、トッピングをのせれば燒仙草になります。
固さの調整: 片栗粉を煮汁1Lあたり大さじ3〜4にすると、専門店のようなやわらかい仕上がりになります。角がしっかり立つ缶詰のような固さにしたいときは大さじ5まで増やします。タピオカでんぷんを使うと、より透明感のあるつるんとした食感になります。

粉末の「燒仙草の素」で作る

台湾の産地である関西鎮の農会などが「即溶燒仙草」という粉末を出していて、1袋(10g)に熱湯200mlを注いで混ぜ、3〜5分置くだけで燒仙草ができます。原材料は砂糖、でんぷん、乾燥仙草、炭酸ナトリウムで、煮出しの工程が済んだ状態です。冷やせば仙草ゼリーにもなります。忙しい店ではこちらが現実的で、日本でも台湾食品の通販で手に入ります。

乾燥した仙草の茎と葉をざるに広げたところ
乾燥した仙草。黒く枯れた茎と葉を煮出します(写真はイメージ)

仙草ゼリーと亀ゼリー(亀苓膏)の違い

黒いゼリーというと、香港の亀ゼリー(亀苓膏、グイリンガオ)と混同されがちです。「仙草亀ゼリー」とひとまとめに呼ばれることもありますが、見た目が似ているだけで別物です。

項目仙草ゼリー亀ゼリー(亀苓膏)
原料シソ科の植物「仙草」の茎と葉土茯苓などの生薬。本来は亀の甲羅(亀板)も使う
主な地域台湾、中国南部香港、広東
味香りのあるほろ苦さ。コーヒーゼリーに近いはっきりした苦み。薬らしい味
位置づけ日常のおやつ、かき氷や豆花のトッピング涼茶店で出す薬膳デザート
温かい形燒仙草として冬の定番基本は冷たい。温かく出す店もある

日本のメニューで「仙草ゼリー」と「亀ゼリー」が別に書かれていたら、食べやすいのは仙草のほうです。初めての人に出すなら仙草から、と覚えておけば間違いありません。

効能について。台湾でどう扱われているか

仙草は、中国医学では体の熱を取り、喉の渇きを癒す食べものとされてきました。台湾で夏に仙草ゼリーや仙草茶が食べられるのはこの位置づけからで、冬の燒仙草は「体を温める」というより、寒い時期に温かい甘味として定着したものです。

ただし、これは伝統的な扱いであって、健康効果を保証するものではありません。この記事でも効能は伝聞として書いています。飲食店でメニューに載せるときも、「台湾では夏バテのときに食べられてきた」のように、文化として紹介するのが安全です。

飲食店で仙草を出すなら。業務用の形態と原価の目安

ここからは飲食店・カフェの方向けです。仙草は仕入れの形態が4つあり、オペレーションと原価で選び方が変わります。

形態規格の例下処理向いている店
缶詰の仙草ゼリー255g、540g、2.8kg開けて切るだけ。常温で長期保存できるトッピングに少量使う店。かき氷、豆花、ドリンク
仙草の原液980ml、2.8Lでんぷんで固めるか、薄めて仙草茶に仙草ゼリーと燒仙草の両方を出す店
燒仙草の素(粉末)10g×12袋など熱湯200mlで溶く。1袋1杯冬に燒仙草を単品で出す店。仕込みなし
乾燥仙草50g〜2時間煮出す。仕込みが必要専門店。味と固さを自分で決めたい店

原価の目安

日本の輸入食品店の小売価格で試算します。業務用の仕入れならこれより下がるので、上限の目安と考えてください。

形態小売価格の例1人前の使用量1人前の原価
缶詰の仙草ゼリー 255g246円80g(トッピング1人前)約77円
燒仙草の素 10g×12袋2,026円1袋(1杯200ml)約169円

缶詰をトッピングに使うなら1人前80円前後で、黒糖シロップとタピオカを足しても100〜120円に収まります。豆花やかき氷に「仙草トッピング」として100〜150円で追加注文にすると、原価率は50%を切ります。燒仙草を単品で出す場合は、素の小売価格だと1杯170円前後なので、業務用の原液や乾燥仙草に切り替えたほうが利益が出ます。

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よくある質問

仙草の読み方は?
日本では「センソウ」と読みます。中国語の発音では「シェンツァオ(xiāncǎo)」に近く、台湾語では「シエンツァウ」です。ゼリーにしたものは仙草ゼリー、台湾では仙草凍(シェンツァオドン)と呼びます。
仙草ゼリーはどんな味ですか?苦いですか?
ほのかな薬草の香りと、コーヒーゼリーに近いほろ苦さがあります。ゼリー自体に甘みはほとんどないので、黒糖シロップやはちみつ、ミルクをかけて食べます。合わせると苦みはほとんど気にならず、コーヒーゼリーが好きな人なら抵抗なく食べられる味です。
仙草ゼリーと亀ゼリー(亀苓膏)は何が違いますか?
見た目はどちらも黒いゼリーですが原料が違います。仙草ゼリーはシソ科の植物「仙草」を煮出したもので、香りのあるほろ苦さです。亀ゼリーは土茯苓などの生薬を煮出した香港の薬膳ゼリーで、はっきりした苦みがあります。仙草のほうがずっと食べやすく、台湾では日常のおやつです。
燒仙草(焼仙草)とは何ですか?焼いているのですか?
焼いてはいません。仙草の煮出し液にでんぷんでとろみをつけ、固める前の温かい状態で器に注ぎ、芋圓やピーナッツ、小豆、タピオカをのせた台湾の冬のスイーツです。「燒」は中国語で「熱い」の意味で、温かい仙草という名前です。
仙草ゼリーはどのくらい日持ちしますか?
缶詰の仙草ゼリーは未開封なら常温で保存でき、賞味期限は缶の表示に従います。開封後は冷蔵して早めに食べ切ります。乾燥仙草から手作りした場合は冷蔵で2〜3日が目安で、でんぷんで固めたものは時間が経つと水が出やすいので、作った翌日までに出すのが安心です。
仙草に効能はありますか?
中国医学では体の熱を取り、喉の渇きを癒す食べものとされていて、台湾では夏に仙草ゼリー、冬に燒仙草を食べる習慣があります。ただしこれは伝統的な位置づけで、健康効果を保証するものではありません。この記事でも効能は伝聞として書いています。
執筆者 神戸慧士の顔写真
執筆: 神戸 慧士(マルイ物産 データ分析)
監修者 井上均の顔写真
監修: 井上 均(IRCA登録 食品安全マネジメントシステム 准審査員 6033715)
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