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豆花(トウファ)とは?本場台湾の作り方と凝固剤5種の比較

豆花を初めて作る人にも、お店のメニューに載せたい人にも。凝固剤の選び方ひとつで食感がどう変わるかを軸に、基本の作り方から原価の目安までまとめました。

公開日 2026年9月2日 更新日 2026年9月17日

豆花(トウファ)は、豆乳を凝固剤でやわらかく固めた台湾の伝統的なスイーツです。プリンより軽く、絹ごし豆腐よりなめらかな口あたりで、黒糖シロップやピーナッツ、タピオカ、芋圓(ユーユェン)などのトッピングをのせて食べます。

読み方は「トウファ」です。中国語の発音では「ドウホワ(dòuhuā)」に近く、日本では「トーファー」「豆腐花(トウフファ)」と書かれることもあります。すべて同じ食べものを指します。

日本でも台湾カフェの広がりとともに知られるようになりましたが、「家で作ったら固まらなかった」「お店のあのなめらかさにならない」という声が多い食べものでもあります。その原因のほとんどは豆乳の選び方と凝固剤の選び方にあります。この記事ではそこを一番くわしく書きます。

黒糖シロップとタピオカ、ピーナッツをのせた豆花の一杯
黒糖シロップにタピオカとピーナッツ。いちばん定番の組み合わせです(写真はイメージ)

豆花とは。豆腐・杏仁豆腐・豆乳プリンと何が違うのか

豆花は台湾・中国・香港で広く食べられている豆乳のデザートです。「豆腐花」とも呼ばれ、日本では「トウファ」の読みで定着しつつあります。

原料は豆乳と凝固剤で、実は豆腐とまったく同じです。違いは仕上げ方にあります。豆腐は型に入れて固め、木綿なら重しで水を切って形を保ちますが、豆花は圧搾も水切りもせず、すくうと崩れるぎりぎりのやわらかさで止めます。そこに甘いシロップをかけるので、同じ原料でも「料理の素材」ではなく「デザート」になるわけです。台湾の農業部の解説でも、豆花と板豆腐はどちらも豆乳ににがりか食用石膏を加えて固めるところまでは同じで、違いは豆花に圧搾の工程が無いことだと説明されています。台湾光華雑誌の豆花特集は、凝固剤の比率が違うことも挙げています。

杏仁豆腐と混同されることもありますが、あちらは牛乳に杏仁霜で香りをつけたもので、原料も味の主役も別物です。名前に「豆腐」と付いていても大豆は使いません。豆花の主役はあくまで大豆の風味です。

日本で似た見た目のものに豆乳プリンがあります。こちらは豆乳に砂糖を入れ、ゼラチンや卵で固めた家庭のデザートで、本体に甘みがある点と、にがりや石膏を使わない点が豆花と違います。4つを表で並べます。

豆花豆腐杏仁豆腐豆乳プリン
主な原料豆乳豆乳牛乳、砂糖、杏仁霜豆乳、砂糖
固め方石膏やにがりを注いで待つ。圧搾しない石膏・にがり・GDLで固めて型に入れる。木綿は重しで水を切る寒天やゼラチンで冷やし固めるゼラチン、卵、寒天で冷やし固める
甘み本体は無糖。シロップでつける無糖本体に砂糖が入る本体に砂糖が入る
食感すくうと崩れ、薄い層になる形が保てる。絹ごしはなめらかつるんと歯切れがよいプリンのようにプルンとする
味の主役大豆の風味大豆の風味杏仁の香り大豆の風味と甘み
食べる場面台湾のデザート。朝食にも夜市にも料理の素材中華料理のデザート日本の家庭のデザート

豆腐との境目でいちばん近いのは絹ごし豆腐です。台湾の豆腐機械メーカーの解説では、グルコノデルタラクトン(GDL)という凝固剤が「とてもやわらかい豆腐と豆花」の両方に使われていると書かれていて、台湾でも「嫩豆腐(やわらかい豆腐)と豆花の区別がつかない」という声があるほどです。それでも豆花と名乗るのは、圧搾せず、シロップをかけてデザートとして出すからです。豆乳プリンの作り方は別の記事にまとめています。

本場台湾での豆花の食べられ方

台湾では豆花は特別なスイーツではなく、朝ごはんの店にも夜市にもある日常の食べものです。専門店では注文を受けてから大きな寸胴からお玉で薄くすくい、シロップとトッピングをのせて出します。この「お玉で薄くすくう」のが本場流で、スプーンで切り分けるのではなく、薄い層がひらひらと重なった状態で提供されます。

季節による食べ分けもはっきりしています。夏はかき氷と合わせた冷たい豆花、冬は生姜を効かせた温かいシロップをかけた温豆花が定番です。トッピングはピーナッツ、タピオカ、芋圓、仙草ゼリー、小豆、緑豆などから2〜3種選ぶのが一般的で、組み合わせは店の個性が出るところです。

ポイント: 「冷たくても温かくても成立する」のが豆花の強みです。あとで書きますが、これは飲食店にとって夏冬でメニューを落とさなくていいという意味でもあります。

凝固剤5種の比較。食感はここで決まる

豆花のレシピを検索すると、ゼラチンで作るもの、にがりで作るもの、寒天で作るものがバラバラに出てきて混乱します。どれが正解というものではなく、凝固剤によって仕上がりの食感と作りやすさがまるで違うので、目的に合わせて選ぶのが正解です。5種類を比べます。

凝固剤固め方食感温豆花作り置き手に入りやすさ
石膏(すまし粉)
(食用の硫酸カルシウム)
熱い豆乳を注いで待つ本場そのもの。すくうと崩れる、いちばんなめらかな仕上がりできる当日中が目安製菓材料店・通販
にがり蒸すか湯せんで保温おぼろ豆腐に近い。大豆の風味がいちばん立つできる当日中が目安スーパー
ゼラチン冷蔵庫で冷やすだけプルンとやわらかい。豆花らしさは十分出る不向き(熱で溶ける)2〜3日スーパー
アガー一度沸かして冷ますツルンと歯切れがよい。常温でも崩れないできる2〜3日製菓材料店・通販
寒天一度沸かして冷ますしっかり固まるぶん、なめらかさは出にくいできる2〜3日スーパー

選び方をひとことで言うと、こうなります。

基本の作り方(ゼラチン版)

最初の一杯はゼラチンで作るのがおすすめです。材料は3つ、工程は冷やすだけです。

材料(4人分)

  1. ゼラチンをふやかす粉ゼラチンを水大さじ2にふり入れ、5分置きます。
  2. 豆乳を温める鍋で豆乳を60℃前後まで温めます。沸騰させると豆乳の風味が飛び、膜も張るので、鍋のふちに小さな泡が出はじめたら火を止めます。
  3. ゼラチンを溶かすふやかしたゼラチンを加え、完全に溶けるまで混ぜます。
  4. 容器に注いで冷やす粗熱をとってから容器に注ぎ、冷蔵庫で3時間以上冷やします。
  5. シロップをかける黒糖50gと水50mlを小鍋で煮溶かした黒糖シロップと、好みのトッピングをのせて完成です。
レンゲですくった豆花のなめらかでやわらかい質感
すくうと崩れるぎりぎりのやわらかさが豆花らしさです(写真はイメージ)
甘みはシロップで: 本場の豆花は本体に砂糖を入れず、シロップで甘みをつけます。本体を無糖にしておくと、生姜シロップに変えて温豆花にするなど展開が効きます。

本場の食感に近づけたいなら(石膏・にがり)

台湾の専門店のあのなめらかさは、石膏(食用の硫酸カルシウム)によるものです。日本では豆腐用の凝固剤「すまし粉」として製菓材料店や通販で手に入ります。

作り方は独特で、「固めに行く」のではなく「注いで待つ」のがコツです。容器に石膏約3gとコーンスターチ大さじ1を少量の水で溶いておき、そこへ90℃近くまで熱した豆乳500mlを高い位置から一気に注ぎます。台湾ではこの手法を「衝豆花(豆花を衝く)」と呼びます。注いだら蓋をして15分、絶対に動かさない。これだけで層のあるなめらかな豆花になります。

手順 1容器に石膏3gとコーンスターチ大さじ1を水50mlで溶いておく
手順 290℃近くの豆乳500mlを、高い位置から一気に注ぐ
手順 3蓋をして15分待つ。固まるまで絶対に動かさない
衝豆花の流れ。「固めに行く」のではなく、注いだ勢いで混ざったあとは触らずに待つのがコツです。

にがりで作る場合は、豆乳ににがりを混ぜてから蒸す(または湯せんで保温する)方式です。温度管理がシビアなぶん、うまくいったときの大豆の風味は5種の中でいちばんです。

どちらの場合も、調整豆乳では固まりません。凝固剤はタンパク質を固める仕組みなので、大豆固形分の少ない豆乳では反応が足りないためです。固まらない失敗のほとんどはここが原因です。

大きな容器からお玉で薄くすくい上げる豆花
本場の店ではお玉で薄くすくって盛りつけます。この層が石膏で固めた豆花の特徴です(写真はイメージ)

シロップとトッピング

豆花の楽しさの半分はトッピングです。定番の組み合わせを挙げます。

トッピング違いの豆花3種。ピーナッツ、タピオカ、マンゴー
本体は同じでも、トッピングを変えるだけで別メニューになります(写真はイメージ)

飲食店で豆花を出すなら。原価の目安とオペレーション

ここからは飲食店・カフェの方向けの話です。豆花はメニューとして、原価とオペレーションの両面でかなり優秀です。

1杯あたりの原価の目安

市場の一般的な価格で試算します。仕入れ先や分量で変わるので、あくまで目安です。

項目使用量の目安金額の目安
無調整豆乳(1L 250円前後で計算)150ml約38円
凝固剤(アガーで計算)1.5g約5円
黒糖シロップ20ml約15円
トッピング2種(ピーナッツ+タピオカなど)40g約30円
合計約90円

1杯90円前後で、台湾カフェでの豆花の売価はおおむね500〜650円です。原価率にすると15%前後で、これはデザートメニューの中でも低い部類に入ります。トッピングを1種50〜100円で追加注文にすれば、客単価も上がります。

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よくある質問

豆花の読み方は?
「トウファ」と読みます。中国語の発音では「ドウホワ(dòuhuā)」に近く、日本では「トーファー」や「豆腐花」と書かれることもあります。表記が違っても、すべて同じ豆乳のデザートを指します。
豆花と豆腐は何が違うのですか?
原料はどちらも豆乳と凝固剤で同じです。豆腐は型に入れて固め、木綿なら重しで水を切って形を保ちますが、豆花は圧搾も水切りもせず、すくうと崩れるやわらかさで止めます。台湾ではシロップとトッピングをかけて、プリンのような感覚で食べられています。
杏仁豆腐との違いは?
杏仁豆腐は牛乳に杏仁霜(あんにんそう)で香りをつけて固めた中国のデザートで、主役は杏仁の香りです。豆花は豆乳そのものを固めたもので、大豆の風味が主役です。原料も味の方向も別物です。
調整豆乳でも豆花は作れますか?
にがりや石膏では固まらないことが多いです。ゼラチンやアガーなら固まりますが、大豆の風味は薄くなります。無調整豆乳、それも大豆固形分9%以上の濃いものを使うのがおすすめです。
豆花が固まらないのはなぜですか?
よくある原因は4つです。調整豆乳を使っている、豆乳の大豆固形分が少ない、豆乳の温度が適温から外れている、固まる前に容器を動かしている。特ににがり・石膏で作る場合は、無調整豆乳を使うことと温度管理がほぼすべてです。
にがりで豆花を作るコツは?
大豆固形分9%以上の無調整豆乳を使い、にがりを混ぜたら蒸すか湯せんで温度を保つことです。目安は豆乳500mlににがり小さじ1〜1.5で、固まるまで容器を動かさないのがいちばんのコツです。調整豆乳では固まりません。
温かい豆花もありますか?
あります。台湾では冬になると、生姜を効かせたシロップをかけた温豆花が定番です。温かい状態で提供するなら、熱で溶けるゼラチンではなく、石膏・にがり・アガーで固めるのが向いています。
執筆者 神戸慧士の顔写真
執筆: 神戸 慧士(マルイ物産 データ分析)
監修者 井上均の顔写真
監修: 井上 均(IRCA登録 食品安全マネジメントシステム 准審査員 6033715)
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