喜茶(HEYTEA、ヘイティー)とは何者か。チーズティーを生んだ店が規模の競争から降りた理由と、日本の店のその後
チーズティーを最初に広めたとされる中国のティーチェーンは、この2年で店を1,000店減らし、日本の1号店も動きを止めました。負けたのか、それとも降りたのか。公開資料と現地の報道から、喜茶の勝ち方と降り方、日本での15か月を整理しました。飲食店が持ち帰れることも分けて書いています。
喜茶(HEYTEA、ヘイティー)は、2012年に中国・広東省江門市で生まれたティードリンクのチェーンで、クリームチーズの泡を載せた「チーズティー」を最初に広めたとされる店です。高い価格と行列で知られた直営の時代、2022年の値下げとフランチャイズ解禁、4,600店を超えた規模の時代を経て、2025年2月に「数字のゲームと規模の消耗戦には参加しない」と宣言して加盟の募集を止め、2026年9月7日に約19か月ぶりに選抜型で再開しました。
日本では2025年2月に大阪・道頓堀に1号店が開きましたが、2026年5月にデリバリーの営業を終え、この記事の公開時点で商業施設の公式テナント一覧から名前が消えています。閉店や撤退の公式な発表はありません。この記事では、規模を競う同業と反対の道を選んだこの会社の仕組みを、時系列で読み解きます。金額は1元を約23円で換算しています。
喜茶とは。数字で見る現在地
まず、この会社の大きさと現在地を、公開されている数字で並べます。
| 項目 | 数字・事実 | 時点 |
|---|---|---|
| 創業 | 2012年5月、広東省江門市。創業者は聶雲宸(ニエ・ユンチェン)氏(1991年生まれ)。創業時の店名は「皇茶(ロイヤルティー)」 | |
| 本部 | 広東省深圳市。2016年に「喜茶(HEYTEA)」へ改名 | |
| 店舗数(中国) | 約3,545店。ピークは2024年10月ごろの4,600店超で、そこから1,000店以上減 | 2026年7月 |
| 店舗数(海外) | 28都市で100店超。イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、韓国、シンガポール、マレーシアなど | 2025年8月 |
| 評価額 | 約600億元(約1兆4,000億円)。2021年7月の5億ドル調達時。投資家は紅杉、高瓴、騰訊(テンセント)、淡馬錫(テマセク)など | 2021年7月 |
| 上場 | していない。同業が相次いで上場するなかで非上場のまま | 2026年9月 |
| 主な価格帯(中国) | 15〜25元(約345〜575円)。2022年2月の値下げ前は20〜30元台 | |
| 看板商品 | チーズティー(芝士茶)、多肉葡萄(ぶどうの果肉のフルーツティー)、超級植物茶(ケールなどの野菜と茶) | |
| フランチャイズ | 2022年11月に解禁、2025年2月10日に募集停止、2026年9月7日に約19か月ぶりに再開 | |
| 日本 | 2025年2月15日に大阪・道頓堀で1号店開店。2026年5月20日にデリバリー営業を終了し、9月時点で施設のテナント一覧に掲載なし | 2026年9月 |
この表で目を引くのは、店舗数が「減っている」ことです。同業の蜜雪氷城は6万店超、CHAGEEは7,639店と、どちらも増やし続けています。喜茶だけが1,000店以上減らし、上場もしていません。ただ、これは単純な失速ではなく、会社が自分で選んだ結果でもあります。順を追って見ていきます。
チーズティーはこの店から広まった。皇茶からHEYTEAへ
喜茶の歴史は、1991年生まれの聶雲宸氏が、携帯電話の販売店をたたんで2012年5月に広東省江門市の路地に開いた小さな店から始まります。店名は「皇茶」でした。ここで売り出したのが、クリームチーズと生クリームを泡立てて塩をきかせ、淹れたてのお茶に載せる「芝士奶蓋茶」、いまで言うチーズティーです。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、聶氏を「チーズトップティーを流行させた人物」として紹介しています。
ひとつ丁寧に書いておくと、泡立てたミルクフォームを載せるお茶自体は、それより前から台湾にありました。喜茶が広めたのは「クリームチーズを使う」いまの型です。第三者がどちらが先かを検証した資料は見当たらないため、この記事では「最初に作ったとされる」に留めます。日本でチーズティーが「台湾生まれ」と紹介されることが多いのは、この二段階の歴史が混ざっているためです。
「皇茶」の名前は商標登録ができず、真似をした店が乱立しました。そこで2016年に商標を確保できる「喜茶」へ改名します。模倣に名前を奪われた経験が、後の「ブランドを守る」姿勢の原点になっています。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 2012年5月 | 広東省江門市で「皇茶」創業。チーズティーの原型「芝士奶蓋茶」を売り出す |
| 2016年 | 商標問題で「喜茶(HEYTEA)」へ改名。IDG資本などから1億元を調達し、広東省の外へ |
| 2017〜2018年 | 上海、北京など大都市へ。開店のたびに長い行列ができ、「行列のできる茶」として全国区に。2018年にシンガポールと香港へ進出 |
| 2021年7月 | 5億ドルを調達し、評価額約600億元。当時の店舗数は1,000店に満たず、1店あたりの評価額は突出していた |
| 2022年 | 2月に全面値下げ、11月にフランチャイズ解禁。この年は60店超を閉め、800店台で足踏み |
| 2023〜2024年 | 加盟店で急拡大。2023年末に3,200店超、2024年10月ごろに4,600店超 |
| 2025年2月 | 「数字のゲームと規模の消耗戦には参加しない」と宣言し、加盟募集を停止 |
| 2026年9月 | 約19か月ぶりに加盟募集を再開。ただし選抜型 |
高い1杯に並ばせた直営の型
2022年まで、喜茶は10年間フランチャイズを一切やらず、全店直営を貫きました。1杯20〜30元台という、業界では高い値段でも、開店のたびに長い行列ができました。並ばせた力は3つあります。
- 新しいカテゴリを名前ごと作る。チーズティー(芝士茶)という言葉自体が喜茶の発明です。商品ではなくカテゴリの名前を作ると、後から参入する店がすべて「元祖はどこか」という文脈で喜茶を指すことになります。ぶどうの果肉をその場で潰して入れる「多肉葡萄」も同じ型で、各社が追随する定番カテゴリになりました
- 素材の格を上げる。粉末やシロップではなく、淹れたての茶葉のお茶、その日の果物、クリームチーズを使う。淹れたての茶葉と生乳、果物を使うこの流れは「新式茶飲(ニュースタイルティー)」と呼ばれ、喜茶はその代表格とされてきました
- デザインとコラボで「撮る理由」を作る。白と余白を基調にした店、お茶を飲む横顔のロゴ、そしてコラボです。ラグジュアリーブランドのFENDIや、芸術家の草間彌生さんと組んだ企画は、1杯の茶をファッションの話題に変えました
この型はお金がかかります。一等地の大型店、多めの店員、その日の果物の仕込み。だから喜茶は外部の資本を入れ続けました。2021年7月には5億ドルを調達し、評価額は約600億元。報道によるとテンセント、セコイア、テマセクといった投資家が並び、まだ1,000店に満たない直営チェーンとしては破格の値付けでした。この評価額が、後の「規模を追う」圧力にもなります。
2022年、2つの禁を破る。値下げとフランチャイズ解禁
2022年、喜茶はそれまで自分に課していた2つの禁を、立て続けに破ります。
1つ目は値下げです。2022年2月、全商品を1〜10元下げ、「30元台の商品はなくす」「年内は値上げしない」「29元以上の新商品は出さない」と宣言しました。値下げ後は15〜25元が全商品の6割超になり、9元の純茶も置きました。高価格帯の客層だけでは伸びが止まり、同業の奈雪の茶も同時期に値下げしています。プレミアム路線の限界を、業界の先頭で認めた形です。
2つ目はフランチャイズの解禁です。2022年11月、10年続けた直営専業をやめ、「事業合夥人(事業パートナー)」の名前で加盟の募集を始めました。対象は一線都市以外で、必要資金は50万元(約1,150万円)以内と報じられています。翌2023年3月には海外の加盟窓口も開き、日本、シンガポール、アメリカなどからも申請できるようになりました。
2つの決断の背景には同じ計算があります。中国のティードリンク市場の主戦場が、高価格帯の一線都市から、15元前後の地方都市へ移っていたことです。蜜雪氷城が2万店を超え、CHAGEEが伯牙絶弦で駆け上がっていた時期で、直営のままでは規模の競争に加われませんでした。
4,600店まで増えて、何が起きたか
解禁の効果は劇的でした。2023年の1年間で2,392店が新しく開き、2023年末には3,200店を超えます。加盟希望が殺到し、2024年10月ごろには4,600店を超えました。2年で店の数はおよそ5倍です。
ただ、増えた先で起きたことも、はっきり数字に出ています。
- 1店あたりの売上の低下。同じ商圏に喜茶同士が重なり、さらに他チェーンの出店も重なりました。フランスの調査会社ダシュー・コンサルティングのまとめでは、中国の新式茶飲業界全体で1年に約17万4,000店が開き、約13万7,000店が閉じています。開店の勢いと同じくらいの勢いで、店が消えている市場です
- 加盟店の採算の悪化。36氪の英語版は2025年に、喜茶の加盟店が収益の悪化に苦しみ、店舗数が2025年10月末時点で3,977店まで減ったと伝えています
- 同質化。どのチェーンも果物と茶葉と健康を打ち出し、価格も15〜20元前後に集まりました。「新しいカテゴリを作る店」だった喜茶が、規模を追った2年で「たくさんあるうちの1つ」に近づいたわけです
2025年「数字のゲームには参加しない」宣言
2025年2月10日、喜茶は社内向けの書簡を出します。題名は「数字のゲームと規模の消耗戦には参加しない。ユーザーとブランドに回帰する」。そこには、資本のための価格競争や盲目的な店舗拡大が業界を同質化の競争に陥らせている、という趣旨の言葉が並び、あわせて加盟申請の受付を止めました。当時、喜茶の店の7割以上は加盟店でした。
言葉だけなら宣言で終わりますが、喜茶は実際に店を減らしました。新華網は2025年12月に、喜茶の店舗がこの1年で600店以上消え、加盟店が収益の悪化に直面していると伝えています。21世紀経済報道によると、募集を止めていた約2年間の新規出店は累計でわずか110店です。増やすのをやめただけでなく、採算の合わない店が閉まるのを止めなかった、ということです。
この選択が同業と正反対である点は強調しておきます。同じ2025年、蜜雪氷城は香港市場に上場して店を増やし続け、CHAGEEはNASDAQに上場しました。評価額600億元まで資本を入れた会社が、上場のレースからも規模のレースからも降りる。中国のメディアがこの宣言を大きく扱ったのは、それが業界の常識の逆だったからです。
2026年9月、19か月ぶりの加盟再開。「儲かる業界ではない」と言って募る
そして2026年9月7日、喜茶の注文用アプリ「喜茶GO」のなかに、「事業合夥人になりたい」という申請の入口が静かに戻りました。2025年2月の停止から約19か月ぶりです。複数の中国メディアが確認して報じ、この記事の公開時点で最も新しい喜茶のニュースになっています。
ただし、募集の姿勢は停止前と別物です。案内には、およそ次の趣旨の文言が添えられています。「新茶飲は高い利益の出る業界ではない。短期の高い回収だけを求め、素早く入って素早く出ることを望むなら、申請はお勧めしない」。加盟ビジネスの募集文句としては異例の、来る人を選んで断る書き方で、中国メディアはこれを「勧退(思いとどまらせる)式の募集」と呼びました。申請には資金の確認に加えて、店をどう経営するか、どんなチームでやるかを書いた事業計画書の提出が求められます。
規模で蜜雪氷城とCHAGEEに勝てない以上、「選んだ加盟店と、ブランドの格で勝つ」しか道がない。この再開の形は、2025年の宣言と矛盾しない範囲で拡大の余地を残す、現実的な落とし所と読めます。
海外はプレミアム路線のまま。ロンドン、ニューヨーク、パリ
中国で値下げと縮小を選んだ喜茶ですが、海外では逆に、創業期のプレミアム路線をそのまま持ち出しています。
| 時期 | 展開 |
|---|---|
| 2018年 | シンガポールと香港へ。海外1号店 |
| 2023年3月 | 海外の加盟窓口を開放。日本、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどから申請可能に |
| 2023年8月 | ロンドンに出店。アジアの外では初 |
| 2023年10〜12月 | オーストラリア、カナダ、マレーシア、そしてニューヨークへ |
| 2024年3月 | 韓国・ソウルの狎鴎亭に1号店。7月に弘大、10月には明洞に旗艦店 |
| 2024年7月 | パリ五輪の直前にパリへ。中国のティーチェーンとしてフランス初と報じられる |
| 2025年2月 | 大阪・道頓堀に日本1号店(次の章で詳しく) |
| 2025年8月 | アメリカのクパチーノに出店し、米国30店超。海外全体で28都市100店超に |
ロンドン、ニューヨーク、パリ、ソウル。並べると分かるとおり、地方都市に広げた中国国内と違い、海外は各国の一等地に絞っています。海外の店では現地の物価に合わせた高めの価格がつき、「中国の新式茶飲の代表」という顔で出ています。中国国内の競争から逃れた先で、創業期の型がいちばん通用するのが海外市場だった、という言い方もできます。シンガポールの調査会社モメンタム・ワークスは、国内での値下げと海外でのプレミアム路線の間で、このモデルが持続できるかに疑問を投げかけていますが、答えはまだ出ていません。
日本の現在地。幻の渋谷と、道頓堀の15か月
「HEYTEA 日本 撤退」という検索が増えています。先に結論を書くと、撤退や閉店の公式な発表は、この記事の公開時点で見つかりません。ただし大阪・道頓堀の日本1号店は2026年5月20日にデリバリーの営業を終え、9月時点で商業施設の公式テナント一覧から名前が消えています。確認できた事実を時系列で並べます。
| 時期 | できごと | 出所 |
|---|---|---|
| 2019年6月 | HEYTEA JAPAN株式会社が東京で設立される。法人番号9011101087974。現在の登記上の所在地は港区六本木 | 国税庁の法人番号公表サイト |
| 2020年1月 | 渋谷センター街に3月オープン予定と報じられる。日本語の公式SNSも開設された | ファッションメディアの報道 |
| 2020〜2021年 | 渋谷の店は開店しないまま。日本語の公式SNSは2021年末ごろに更新が止まり、用意されていた店の看板が消えたという目撃投稿が残る | 当時のSNS投稿、中国系メディア |
| 2025年2月15日 | 大阪・道頓堀の商業施設DOTON PLAZAの1階に日本1号店が開店。面積は約147平方メートル。開店から3日間は1日平均600人が来店し、1,500杯を販売 | 施設運営会社のプレスリリース |
| 2025年2〜5月 | 価格は1杯550〜1,250円、平均1,000円前後と報じられる。開店直後は行列と品切れの投稿が続く | 36Kr Japan、当時のSNS投稿 |
| 2026年5月20日 | Uber Eatsでの営業を終了。店舗ページにその旨の表示が残る | Uber Eatsの店舗ページ |
| 2026年6月 | 飲食店のレビューサイトに残る最後の訪問記録。以降、同サイトは「休業か閉店か確認できない」として掲載を保留 | 食べログ |
| 2026年9月 | DOTON PLAZAの公式フロアガイドにHEYTEAの掲載がない。閉店の告知も見当たらない。日本法人の登記は閉鎖されていない | DOTON PLAZA公式サイト、法人番号公表サイト |
道頓堀の店がどう受け止められていたかは、レビューサイトの32件の記録からある程度読めます。味への評価は悪くない一方で、「1杯1,000円を超えるのは高い」という声と、「客の多くが中国や韓国からの観光客だった」という観察が繰り返し出てきます。場所も道頓堀という、日本で最もインバウンドの密度が高い一角でした。
なぜ日本で根づかなかったのか。当社の見方
ここからは当社の見方です。蜜雪氷城の記事で、私たちは「日本では蜜雪の武器である安さが、100円ショップ級の物価差がないため効かない」と書きました。喜茶はその逆で、ブランドがまだ知られていない市場に、1杯1,000円のプレミアム価格から入ったことが重かったと見ています。中国で1杯20元の喜茶を知っている観光客には割高でも納得の値段ですが、初めて見る日本の客には、比較の基準が「近所のティースタンドの500〜700円」しかありません。ロンドンやニューヨークで同じ価格戦略が続いているのは、アジア系住民の厚みと「中国で有名な店」という文脈が先に届いているからで、日本ではその文脈が観光客の中にしかなかった。安すぎて効かない蜜雪と、高すぎて浮いた喜茶は、同じ「本国の型を持ち込む難しさ」の裏表です。
蜜雪氷城、CHAGEE、喜茶。3つの勝ち方を比べる
蜜雪氷城、CHAGEE、喜茶。3社を並べると、同じ「中国のティーチェーン」がまったく別の勝ち方をしていることが分かります。
| 蜜雪氷城(MIXUE) | CHAGEE(霸王茶姫) | 喜茶(HEYTEA) | |
|---|---|---|---|
| 価格帯(中国) | 6〜8元(約140〜180円) | 15〜22元(約350〜510円) | 15〜25元(約345〜575円) |
| 店舗数 | 6万店超(世界最多) | 7,639店(2026年6月末) | 約3,545店(2026年7月)+海外100店超 |
| 本部の稼ぎ方 | 加盟店への原料・包材の卸 | 原料の卸と設備の販売 | 非公開(未上場のため)。直営売上と加盟店への供給 |
| 勝ち筋 | 圧倒的な安さ。アイス2元・レモン水4元の「安さの記号」 | 伯牙絶弦1品への集中と、注文から受け取りまでのデジタル化 | チーズティー、多肉葡萄など「新カテゴリを作り続ける」ブランドの力 |
| 上場 | 香港(2025年3月) | NASDAQ(2025年4月) | していない |
| 規模への態度 | 増やし続ける | 出店を抑えて直営化を進める | 募集を止めて1,000店減、選抜型で再開 |
| 日本 | 出店済み。安さが効かず伸び悩む | 法人設立とSNS開設のみ。未出店 | 2025年に出店、約15か月で動きが止まる |
3社を分けるのは勝ち筋です。蜜雪は、原料を自分の工場で作って加盟店に安く卸し、圧倒的な安さで店の数を積み上げます。CHAGEEは、商品を伯牙絶弦の1品に絞り、注文から受け取りまでをデジタル化して、誰が作っても同じ味を速く出します。1品への集中はそれ自体が目的というより、原料と工程を減らしてこのオペレーションを成立させるための選択です。喜茶は、チーズティーのように新しいカテゴリを作り続け、ブランドの格で高い1杯を売ります。規模の競争は「安さ」と「オペレーション」の勝ち筋に有利で、「ブランド」の勝ち筋が同じ土俵に乗ると、規模で負けてブランドも薄まる。喜茶のこの数年の紆余曲折は、その理屈をそのまま数字にしたものだと私たちは読んでいます。「安さ」「オペレーション」「カテゴリ創造」という3つの勝ち筋は、日本の飲食店がメニューと売り方を考えるときの教材にそのまま使えます。
飲食店が真似できること、できないこと
飲食店の食材を扱う会社として、喜茶の6年間から日本の飲食店やカフェが持ち帰れるものを分けます。ここも当社の見方です。
真似できること
- 商品ではなく「カテゴリ」を名づける。チーズティーも多肉葡萄も、レシピより先に名前が広まりました。新メニューを出すとき、「◯◯(既存の商品名)の新フレーバー」ではなく、新しい呼び名を与えて「うちが最初」と言える形にすると、後から真似されるほど元祖の看板が強くなります
- 上に載せる一手間で普通の一杯を変える。チーズフォームは、クリームチーズと生クリームと牛乳と塩を泡立てるだけで、淹れたお茶の見た目と味を一段変えます。特別な機械はいらず、日本の喫茶店の設備で再現できる技術です
- 「その日の果物」を見せる。多肉葡萄の型は、果肉をその場で潰して入れることに価値があります。シロップより原価も手間もかかりますが、値段の理由が客に見えます
- 値下げするなら宣言する。2022年の喜茶の値下げは、こっそり下げるのではなく「30元台と決別する」と宣言して話題にしました。価格を変えること自体をニュースにする、という技術です
- 広げない勇気を持つ。多店化や新業態が苦しくなったとき、「一度止めて選び直す」判断は個人店でもできます。喜茶の募集停止は、拡大が前提の業界でも止まる選択があり得ることを示しました
真似できないこと
- 評価額600億元の資金力。一等地の大型店を赤字覚悟で構え、ブランドを先に作るやり方は、外部資本があって初めて成立します
- FENDIや草間彌生さんとのコラボ。コラボの型自体は真似できますが、相手の格はブランドの積み上げに比例します。個人店なら、地元の作家や近隣の人気店との組み合わせが同じ効果の入口になります
- カテゴリを作り続ける開発体制。チーズティーの次に多肉葡萄、その次に野菜の超級植物茶と、数年ごとに新カテゴリを当て続けるのは専門の開発チームの仕事です。個人店は「作る」より「早く取り入れる」側が現実的です
当社(マルイ物産)は、ボタンを押すだけでドリンクができる業務用の自動ドリンクマシンと、専用の原料を飲食店向けに取り扱っています。喜茶やCHAGEEのような専門店品質のドリンクを「誰が作っても同じ味」で出したい方、ドリンク専門店ではない店にドリンクのメニューを載せたい方は、お気軽にご相談ください。
自動ドリンクマシンについて問い合わせる喜茶のメニューは何でできているか。業務用で再現するなら
最後に、喜茶を代表するメニューを素材の目で分解します。どれも「茶葉のお茶」が土台で、そこに乳と果物を重ねる構成です。
| メニュー | 主な素材 | 店で必要なもの |
|---|---|---|
| 芝士茶(チーズティー) | 緑茶・烏龍茶・紅茶のいずれか、クリームチーズ、生クリーム、牛乳、塩 | お茶を濃く淹れる道具、泡立て器かブレンダー |
| 多肉葡萄(ぶどうのフルーツティー) | 皮をむいたぶどうの果肉、緑茶、氷。チーズフォームを載せる場合も | 果肉を潰すペストル、シェイカー |
| 超級植物茶(野菜と茶) | ケールなどの野菜、果物、茶 | ブレンダー |
| 純茶(ストレートティー) | 茶葉、水、氷 | お茶を淹れる道具、製氷機 |
ポイントは、土台のお茶の濃さです。チーズフォームや果肉のような強い素材を載せるので、お茶が薄いとただの甘い飲み物になります。ジャスミン茶、四季春(台湾の軽い烏龍茶)、蜜香紅茶のような香りの立つ茶葉を濃いめに淹れるか、抽出済みの濃縮茶を使うと、上に何を載せても茶の輪郭が残ります。チーズフォーム自体は、クリームチーズ、生クリーム、牛乳、ひとつまみの塩を七分立てにするのが基本形で、業務用の乳製品がそのまま使えます。
この記事に出てきた、チーズティーやフルーツティーの土台になる茶葉と濃縮茶は、業務用サイズで仕入れられます。FOODBOATは飲食店専門の食材通販です。お茶を濃く抽出したCHA SPRESSOと、ジャスミン茶・四季春・蜜香紅茶の台湾茶葉600gパックを、ケース単位と混載で販売しています。
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よくある質問
喜茶(HEYTEA)の読み方は?
HEYTEAはどこの国のブランドですか?
HEYTEAの日本の店はもう無いのですか?
チーズティーはHEYTEAが発明したのですか?
喜茶の店舗数は?
喜茶は上場していますか?
喜茶のフランチャイズに加盟できますか?
参考にした資料(32本。別タブで開きます)
- 21世紀経済報道「時隔19個月、喜茶重啓事業合夥申請」(2026年9月8日)
- 南方都市報(騰訊新聞)「喜茶重開加盟、「勧退」式招募合夥人?」(2026年9月9日)
- 騰訊新聞「告別内巻一年半後、喜茶恢復「加盟」?」(2026年9月8日)
- 騰訊新聞「喜茶宣布暫停加盟申請」(2025年2月)
- 時代週報「喜茶暫停加盟」(2025年2月)
- Yicai Global「Chinese Tea Brand HEYTEA to Slow Down Store Opening Pace」(2025年2月)
- 新華網「喜茶600店超が消失、加盟店の収益難」(2025年12月16日)
- 36Kr英語版「HEYTEA franchisees struggle as store count falls」(2025年)
- 36氪「喜茶2022年は800店台で足踏み、60店超を閉店」(2023年2月)
- 人民網「喜茶が全面値下げ、15〜25元が主流価格帯に」(2022年2月25日)
- 毎日経済新聞「喜茶告別30元」(2022年2月24日)
- EqualOcean「HEYTEA Raises USD 500 Million in Series D」(2021年7月)
- Yicai Global「China's HEYTEA Banks USD500 Million in Fundraiser」(2021年7月)
- SCMP「HEYTEA founder Neo Nie Yunchen made cheese-topped tea cool」
- Wikipedia「Heytea」(英語版)
- JTC Inc.プレスリリース「HEYTEA日本進出1号店がDOTON PLAZAにオープン」(2025年2月21日、共同通信PRワイヤー)
- 36Kr Japan「中国ティードリンク「HEYTEA(喜茶)」、日本初上陸 道頓堀1号店」(2025年2月27日)
- 新華社日本語版「中国ティードリンク「喜茶」、大阪に日本1号店オープン」(2025年2月)
- 食べログ「HEYTEA 大阪道頓堀店」(掲載保留・レビュー32件)
- Uber Eats「heytea喜茶 (Osaka Dotonbori)」(営業終了の表示)
- DOTON PLAZA 公式フロアガイド(2026年9月19日確認)
- FASHIONSNAP「HEYTEAが日本上陸か?3月に1号店を都内にオープン予定」(2020年1月7日)
- Let's Chuhai「日本の公式SNSは2021年末に更新停止」(2022年3月)
- 国税庁法人番号公表サイト「HEYTEA JAPAN株式会社」(法人番号9011101087974)
- 36Kr Japan「中国の人気ティードリンク「HEYTEA」、日本含む海外フランチャイズを開放」(2023年)
- 36Kr Japan「中国ティードリンク「喜茶」、海外展開進む 草間彌生さんともコラボ」
- 36Kr Japan「中国ティードリンク「喜茶」、海外展開加速 32都市で100店超」
- PR Newswire「HEYTEA Enters South Korea by Opening the First Store in Seoul」(2024年3月)
- EqualOcean「HEYTEA Tops 100 Overseas Stores」(2025年8月)
- SCMP「Tencent-backed HEYTEA opens shop on eve of Olympics in Paris」(2024年7月)
- 騰訊新聞「喜茶2024年度報告、超級植物茶3,700万杯」(2025年1月)
- 新浪財経「喜茶の超級植物茶が発売1年で累計1億杯」(2025年9月)
- Momentum Works「Is HEYTEA's premium bubble tea model sustainable?」
- daxue consulting「Chinese modern tea market」
数字は各資料の公表時点のものです。店舗数や価格は変わりやすいため、本文では時点を併記しています。喜茶は未上場のため、店舗数や収入の内訳には会社の開示がなく、報道と統計サイトの数字に幅があります。