茶百道(チャバイダオ、ChaPanda)とは何者か。どこの国の店で、日本に店はあるのか。8,800店を支える原料卸の仕組みと、韓国で黒字にした理由
パンダのロゴで韓国の街に増えている中国のティーチェーンは、実は2019年に東京・椎名町に「海外1号店」を開き、1年足らずで閉めていました。成都の20平方メートルの店が8,800店になるまでに何を選び、何でつまずき、いま何で稼いでいるのか。公開資料と現地の報道から整理しました。飲食店が持ち帰れることも分けて書いています。
茶百道(チャバイダオ、英語名ChaPanda)は、2008年に中国・四川省成都市で生まれたティードリンクのチェーンで、2026年6月末時点で世界に8,863店を持つ、中国で3番目に大きいティーチェーンです。店の99%以上がフランチャイズの加盟店で、本部の収入の95%は加盟店に原料と設備を売ることで得ています。生の果物と鮮乳を国内8,600店の9割超に翌日届ける物流網が、この会社の中身です。
日本については、2019年10月に東京・豊島区の椎名町駅前に日本1号店が開き、2020年9月ごろに閉店しました。以後、日本に営業中の店はこの記事の公開時点で確認できません。一方で2024年に入ってからの韓国では2年半で32店まで増え、黒字化しています。同じブランドが日本では1年で消え、韓国では根づいた。その違いも後半で読み解きます。金額は1元を約23円、1香港ドルを約20円で換算しています。
茶百道とは。数字で見る現在地
まず、この会社の大きさと現在地を、公開されている数字で並べます。
| 項目 | 数字・事実 | 時点 |
|---|---|---|
| 読み方 | 中国語で「チャーバイダオ」。日本では「チャバイダオ」、英語名の「ChaPanda(チャパンダ)」でも呼ばれる。韓国では「차백도(チャベクド)」 | |
| 創業 | 2008年、四川省成都市。創業者は王霄錕(ワン・シャオクン)氏と妻の劉洧宏(リウ・ウェイホン)氏。ともに1983年生まれ | |
| 本部 | 成都市。運営会社は四川百茶百道実業 | |
| 店舗数 | 世界8,863店。うち海外は13の国と地域に72店(韓国32店)。中国国内の46%が三線都市以下 | 2026年6月末 |
| 加盟比率 | 99%以上が加盟店。直営は13店 | 2025年末 |
| 売上高 | 53.95億元(約1,240億円)、前年比9.7%増。利益は8.21億元(約190億円)、71%増 | 2025年通期 |
| 2026年上半期 | 売上高26.55億元(約610億円)、6.2%増。利益3.45億元、3.5%増 | 2026年1〜6月 |
| 商品取扱高(GMV) | 161.8億元(約3,700億円)。2023年は169億元で10億1,600万杯 | 2025年 |
| 上場 | 香港証券取引所、2024年4月23日、証券コード2555。新式茶飲で2社目 | |
| 価格帯 | 1杯2ドル前後(約300円)と海外メディアが紹介する中価格帯 | 2024年 |
| 看板商品 | 楊枝甘露(マンゴーとグレープフルーツのデザートドリンク)、招牌芋圓奶茶(タロイモ団子のミルクティー)、茉莉奶緑(ジャスミンミルクティー) | |
| 日本 | 2019年10月に東京・椎名町で開店、2020年9月ごろ閉店。以後、営業中の店は確認できない | 2026年9月 |
店の数では蜜雪氷城(6万店超)、古茗に次ぐ3番手ですが、この表で見てほしいのは「利益が71%増えた」のに「店は2.7%しか増えていない」という2025年の組み合わせです。店を増やして稼ぐ時代が終わり、既にある店にどれだけ売るかで稼ぐ会社に変わりつつあります。順を追って見ていきます。
成都の20平方メートルの店から8,800店へ
茶百道の始まりは2008年、成都市温江区の高校のそばに開いた、20平方メートルに満たない店です。開いたのは当時25歳の王霄錕氏と、成都中医薬大学を出た妻の劉洧宏氏の夫婦で、客は学生、商品は粉を溶いて作るミルクティーでした。中国メディアはこれを「夫婦店」と呼びます。その店が8,800店の上場企業になるまでの節目を並べます。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 2008年 | 成都市温江区で1号店。学生向けの持ち帰り主体の小さな店 |
| 2010年 | 「茶百道」の商標を登録 |
| 2016年 | フランチャイズ加盟を始め、店が100店を超える |
| 2017年2月 | 成都茶百道餐飲管理有限公司を設立 |
| 2018年 | 全国で加盟を募集。包装にパンダのデザインを取り入れ、約800店に |
| 2020年末 | 3,000店を超える |
| 2021年 | 期限切れ原料の使用が報じられ、全店を点検すると謝罪(後述) |
| 2023年6月 | 創業以来初めての外部資金約9.7億元を調達。評価額は180億元(約4,100億円) |
| 2023年8月 | 香港証券取引所に上場を申請。この時点で31省に7,117店 |
| 2024年1月 | 韓国・ソウルに出店。会社はこれを「海外1号店」と位置づける |
| 2024年4月 | 香港に上場。ただし初日の終値は公開価格の27%安 |
| 2024年 | 売上高が13.8%減り、利益は6割近く減る |
| 2025年 | 売上高が9.7%増、利益が71%増のV字回復。加盟店は1,159店開き933店閉店 |
| 2026年 | コーヒーを2,700店以上に展開。海外13の国と地域72店、韓国で黒字化 |
年表を通して見ると、この会社は「新しい商品を発明した会社」ではなく、「加盟店を増やす仕組みを作った会社」だと分かります。2016年の加盟開始から2020年末までの4年間で100店が3,000店になり、2018年に加えたパンダの顔が、店を増やすための共通の看板になりました。
何を売っている店か。楊枝甘露、芋圓ミルクティー、パンダ
茶百道の店に入ると、メニューは大きく3つに分かれます。果物を丸ごと使ったフルーツティー、タロイモ団子などの具が入ったミルクティー、そして2026年から本格的に始めたコーヒーです。公式サイトが挙げる年間の販売杯数を並べると、何で知られている店かが分かります。
| 商品 | 中身 | 年間の販売杯数(公式サイト) |
|---|---|---|
| 茉莉奶緑 | ジャスミン茶のミルクティー | 1億1,000万杯以上 |
| 楊枝甘露 | マンゴー、グレープフルーツ、サゴ(タピオカに似た小粒のでんぷん)、ココナッツミルクの香港発デザートを飲み物にしたもの | 9,200万杯以上 |
| 豆乳玉麒麟 | 豆乳とジャスミン茶に、ぷるぷるのゼリー状トッピングを合わせたもの | 4,800万杯以上 |
| 青提茉莉 | マスカット(青いぶどう)とジャスミン茶 | 2,400万杯以上 |
| 招牌芋圓奶茶 | タロイモ団子(芋圓)入りのミルクティー。創業期からの看板 | 公表なし |
楊枝甘露は海外でも中心の商品で、会社によると2024年1月の海外1号店から1年で海外だけで14万杯を超え、マレーシアの店では4杯に1杯が楊枝甘露だったと報じられています。2026年の中国では「荔枝冰奶(ライチのアイスミルク)」が発売から50日あまりで1,700万杯売れ、冰奶(アイスミルク)のシリーズ全体で3,600万杯を超えました。半年で62品の新商品を出す会社です。
もうひとつ、この店を語るときに欠かせないのがパンダです。ロゴのパンダは、本部のある成都がジャイアントパンダの生息地として知られることにちなんだもので、2018年からカップと店に付いています。この顔を使ったコラボが強く、中国では人気ゲーム『崩壊:スターレイル』と2024年4月と2026年4月の2回組み、指定の飲み物を買うと限定のカップとグッズがもらえる企画で、開始当日に店に長い列ができたことが中国のSNSで話題になりました。日本のフリマサイトにこのグッズが並ぶのは、コラボが中国だけで実施されているためです。韓国では、2024年に韓国のアイドルグループSEVENTEENのメンバーが茶百道の広告に登場しています。
本部はどう稼ぐか。収入の95%が加盟店への原料と設備の販売
茶百道の本部は、飲み物を売って稼いでいるのではありません。2026年上半期の収入26.55億元のうち、25.24億元、つまり95%は「加盟店への商品と設備の販売」です。加盟店が使う茶葉、果物、乳製品、カップや袋などの包材、そしてコーヒーマシンのような設備を、本部が仕入れて加盟店に売る。加盟料やロイヤルティは2025年通期で1.92億元、売上高の3.6%にすぎません。
つまり茶百道の本部は、8,800店の加盟店を相手にした食材と設備の卸売業です。これは蜜雪氷城と同じ構造で、CHAGEEも原料と設備の販売が本部の主な収入です。中国の大手ティーチェーンは、店の看板の下に「原料卸」という同じ商売を持っています。
ただ、蜜雪氷城が粉末やシロップのような日持ちする原料を自社工場で作って安く卸すのに対して、茶百道が卸す中心は生の果物と鮮乳です。腐りやすいものを8,600店に届けるには、工場より物流が要ります。会社の開示を並べると、この物流網が茶百道の本体だと分かります。
| 項目 | 数字 | 時点 |
|---|---|---|
| 倉庫・配送センター | 全国26か所(2025年に青島の倉庫を追加)。2026年上半期は27か所 | 2025年末〜2026年6月 |
| 翌日配送 | 店の約93.7%が発注の翌日に商品を受け取れる | 2025年 |
| 配送頻度 | 店の約95%が週2回以上の配送を受ける | 2026年上半期 |
| 果物の集中配送率 | 80.4%(2025年)から91%(2026年上半期)へ。店が自分で果物を買う割合が減っている | |
| 物流コスト | 商品取扱高の1.3% | 2025年 |
| 粗利益率 | 32.5%(2024年の31.2%から改善) | 2025年 |
2025年に利益が71%増えた理由を、中国の報道は「原価の管理と倉庫・物流の改善」で説明しています。店を増やさなくても、既にある店に週2回、翌日着で果物と鮮乳を届ける仕組みを磨けば、卸としての粗利は上がる。2026年に始めたコーヒーも同じ理屈で、加盟店にコーヒーマシンを売り、豆と乳を卸せば、本部の売上は店を増やさずに増えます。年初に約200店だったコーヒーの導入店は、6月には2,700店を超え、第2四半期にはコーヒーが全体の杯数の10%を超えました。
加盟店の現実。1年で1,159店が開き、933店が閉まる
本部が卸で稼ぐ仕組みは、加盟店が儲かって初めて回ります。ここは会社の開示と現地の報道で、明るい数字と厳しい数字の両方を並べます。
2025年の1年間に、茶百道の加盟店は1,159店が新しく開き、933店が閉まりました。年間で1,218の加盟オーナーが契約を終えています。差し引きの純増は226店で、店の数はほぼ横ばいです。2026年上半期も、499店の加盟契約が終了しました。1年に千店を開き、千店近くを閉める。これが8,800店を保つために起きていることです。
加盟にかかる費用は、中国のまとめ記事によると加盟費10〜20万元に内装、設備、初回の原料を足して合計20〜40万元(約460万〜920万円)が目安です。ただし2026年に本部は加盟の支援策を打ち出しました。網易の2026年8月の報道によると、イートインのある大型店では加盟費9万元を免除し、内装補助6万元、設備補助3万元、開業時の販促支援1万元を合わせて最大19万元(約440万円)を本部が負担します。加盟店を増やす条件を、本部が自分の負担で緩めているわけです。
その同じ報道に、加盟店のオーナーの声が載っています。30万元あまりを投じたある店は月商が14万元、原料代や家賃、人件費を引いた手取りは薄く、別のオーナーは「毎月、自分の給料分を稼いでいるだけ」と話しています。1店の声で全体を語ることはできませんが、1年に千店近くが閉まる数字と重ねると、加盟店の利幅が厚くないことは推し量れます。
2021年には食品安全の問題も起きました。5月に長沙の店で当局の抜き打ち検査があり、10月には動画メディアが4都市の店に潜入して、期限切れの原料に新しいラベルを貼り替えて使う様子や、「生の果物」と宣伝しながら果汁ペーストで代用する様子を公開しました。本部は翌日未明に謝罪し、全店の点検を約束しています。8,000店の加盟店に「生の果物」を約束させることの難しさが、この一件に凝縮されています。
上場初日27%安から、V字回復まで
茶百道は2024年4月23日、香港証券取引所に上場しました。新式茶飲では奈雪の茶に次ぐ2社目で、公開価格17.5香港ドル、調達額は約26億香港ドル(約500億円)でした。ところが初日の終値は12.8香港ドルと27%安。香港市場の回復の難しさを映した値動きと報じられました。
翌年、数字は下を向きます。2024年の売上高は49.18億元と前年から13.8%減り、利益は4.72億元と6割近く減りました。店の数は7,801店から8,395店に増えたのに売上が減った。1店あたりの売上が落ち、値下げ競争に巻き込まれた年です。ここで会社が打った手が、前の章で書いた物流の改善と、果物の集中配送、そして新商品の量産でした。2025年は売上高53.95億元(9.7%増)、利益8.21億元(71%増)まで戻し、商品取扱高は161.8億元と11%増えました。
ひとつ注意しておくと、2025年の利益8.21億元は、2023年の11.51億元にはまだ届いていません。株価も2025年に入っても公開価格を下回ったままと報じられています。「V字」は2024年の谷から見た形で、2023年の頂上を超えたわけではありません。
海外はなぜ韓国だったのか。2年半で32店、黒字化
茶百道の海外展開は、会社の説明では2024年1月のソウル・江南の店から始まります(2019年の東京の店については次の章で書きます)。東南アジアを優先すると目論見書に書いた会社が、最初の1店を韓国に置いたのは、同業では珍しい選択でした。その後の広がりを並べます。
| 時期 | 展開 |
|---|---|
| 2024年1月 | ソウル・江南に韓国1号店。会社の言う「海外1号店」 |
| 2024年6月 | バンコクに2店、メルボルンのチャイナタウンなどオーストラリアに2店。韓国4店と合わせて海外4都市8店に |
| 2024年10月 | 香港・旺角に出店 |
| 2024年11月〜2025年1月 | マレーシアに1号店、2号店。海外13店に |
| 2025年2月 | スペイン・バルセロナにヨーロッパ1号店 |
| 2025年5月 | マカオ、パリ13区に出店準備 |
| 2025年7月 | シンガポールに2店を同時開店。韓国でフランチャイズの認可を取得 |
| 2025年8月 | ニューヨーク・クイーンズ区フラッシングに北米1号店を開くと発表 |
| 2026年1月 | ベトナム1号店の予定。海外の営業店40店超、契約60店超 |
| 2026年6月末 | 海外13の国と地域に72店。うち韓国32店。契約済みは100店超(韓国50店超)。カナダ、ニュージーランドを追加 |
| 2026年8月 | パリのルーブル美術館の商業施設に出店(6月時点で8月開業予定と発表) |
数字で目を引くのは韓国です。2024年に7店、2025年末に18店、2026年6月末に32店と増え、2026年上半期に韓国事業全体で黒字になりました。会社の説明では客の8割以上が現地の消費者で、韓国で最も店舗数の多い中国の外食ブランドになっています。2026年1月の中国メディアの報道によると、海外の店の1日の売上は平均1.2万元(約28万円)で国内平均の2.3倍、韓国での投資回収の期間は現地の他ブランドの半分だといいます。
なぜ韓国で根づいたのか。会社の海外部門の責任者は2026年4月のインタビューで、「一地一策(国ごとに一つの策)」という言葉で説明しています。国ごとに商品を作り変え、韓国では楊枝甘露をかき氷状のスムージーにした版を出しました。氷の量、甘さ、お茶の淹れ方も国ごとに変えます。原料は「中国から世界へ送るもの」と「現地で買うもの」を組み合わせ、60〜80種類の原料を2〜3か月の周期で回しています。韓国ではフランチャイズの認可を取って加盟店で広げ、決済は現地のPOSが複雑な注文に対応できないため中国系の企業と組んだ、という細部まで語っています。
同じ責任者は「新茶飲の業界が本当の意味で世界的なブランドを生むには、おそらく10〜20年以上かかる」とも言っています。72店という数字は、8,800店の会社の海外としては小さく、店の数では全体の1%に満たず、売上への貢献もまだわずかです。中国メディアが「海外の1店は日販1.2万元なのに多く開かない」と書くのは、加盟店の管理と現地の供給網を整える前に広げると品質が落ちる、という会社の判断を伝えたものです。
日本の現在地。椎名町の1年と、公式の歴史から消えた「海外1号店」
「茶百道 日本」と検索すると、SNSでは「日本未上陸」と紹介されることが多く、一方で古いブログには「日本1号店は椎名町」と書かれています。先に結論を書くと、2019年10月に東京・豊島区の椎名町駅前に店が開き、2020年9月ごろに閉まりました。この記事の公開時点で、日本に営業中の店は確認できません。確認できた事実を並べます。
| 時期 | できごと | 出所 |
|---|---|---|
| 2019年10月 | 茶百道の公式とみられる微博が「茶百道の最初の海外店舗が10月22日に東京で開業」と告知。看板商品の芋圓入りミルクティーが当たる転載キャンペーンも | 微博の告知の転載 |
| 2019年10月26日 | 椎名町駅北口の目の前、豊島区長崎1-2-5の2階に開店。マッサージ店の跡地。チーズティー、タピオカ、フルーツティーを出し、楊枝甘露もあった。持ち帰り主体のタピオカ店には珍しく、店内で座って飲めるカフェの作り | 地元のグルメブログ2本、当時のSNS投稿 |
| 2020年7月 | 地域情報サイトが「日本で茶百道が飲めるのは椎名町だけ」と紹介 | としまライフ |
| 2020年9月ごろ | 閉店。跡地には別の店が入る。営業期間は1年足らず | 地元のグルメブログ(2020年10月1日) |
| 2024年1月 | 会社がソウル・江南の店を「海外1号店」として発表。以後の公式資料と中国メディアの記述では、海外展開は2024年の韓国から始まったことになっている | 会社の発表、中国メディア |
| 2025年 | 会社の英語版公式サイトが、2025年時点の進出先に「日本」を挙げる。ただし店の場所や開店の発表は見当たらない | ChaPanda公式サイト |
| 2026年9月 | 飲食店のレビューサイトで椎名町の店は「営業状況を確認できない」として掲載保留のまま。日本に営業中の店は確認できない | 食べログ、当社の確認 |
2019年の東京の店が誰の運営だったか、直営だったのか現地のパートナーだったのかは、公開情報からは分かりません。ただ、公式とみられる微博が「茶百道の最初の海外店舗」と告知した記録は転載の形で残っており、本部が関わった店だったと見てよさそうです。
なぜ日本では1年で消え、韓国では根づいたのか。当社の見方
ここからは当社の見方です。2019年の東京と2024年のソウルでは、会社の側の準備がまったく違っていました。2019年の茶百道は、中国国内で3,000店に向かって走っている最中で、海外向けの商品や原料の仕組みはまだありませんでした。店の場所も、都心の一等地ではなく私鉄の駅前でした。日本のタピオカブームが2019年に頂点を打って落ち、翌年に新型コロナが重なったことも不運でした。
一方で2024年の韓国は、上場と同じ年に、国ごとに商品を作り変える「一地一策」、原料の輸送周期、現地の決済、フランチャイズの認可まで整えてから広げています。同じブランドでも、「国内の勢いで出た店」と「海外の仕組みを作ってから出た店」は別物です。喜茶が2025年に大阪・道頓堀で1杯1,000円の価格から入って15か月で動きを止めたことと合わせると、日本の市場は、本国の看板だけで店を持たせてくれるほど甘くない、と私たちは見ています。茶百道が公式サイトに「日本」を書き続けているのは、いずれ「一地一策」の型で再挑戦する含みだと読んでいます。
蜜雪氷城、CHAGEE、喜茶、茶百道。4つの勝ち方を比べる
中国のティーチェーン4社を並べると、同じ「原料卸で稼ぐ」構造を持ちながら、勝ち筋が違うことが分かります。
| 蜜雪氷城(MIXUE) | CHAGEE(霸王茶姫) | 喜茶(HEYTEA) | 茶百道(ChaPanda) | |
|---|---|---|---|---|
| 価格帯(中国) | 6〜8元(約140〜180円) | 15〜22元(約350〜510円) | 15〜25元(約345〜575円) | 2ドル前後(約300円) |
| 店舗数 | 6万店超(世界最多) | 7,639店(2026年6月末) | 約3,545店(2026年7月) | 8,863店(2026年6月末) |
| 本部の稼ぎ方 | 加盟店への原料・包材の卸(自社工場) | 原料の卸と設備の販売 | 非公開(未上場) | 加盟店への原料・設備の卸(収入の95%) |
| 勝ち筋 | 圧倒的な安さ | 伯牙絶弦1品への集中と、注文から受け取りまでのデジタル化 | チーズティーなど新カテゴリを作り続けるブランドの力 | 生の果物と鮮乳を8,600店に翌日届ける物流網。中価格帯でフルーツティーを日常の飲み物にした |
| 上場 | 香港(2025年3月) | NASDAQ(2025年4月) | していない | 香港(2024年4月) |
| 海外 | 11か国4,800店超 | 200店超 | 28都市100店超 | 13の国と地域72店。韓国に集中 |
| 日本 | 出店済み。安さが効かず伸び悩む | 法人設立とSNS開設のみ。未出店 | 2025年に出店、約15か月で動きが止まる | 2019年に出店、1年足らずで閉店。以後なし |
茶百道の勝ち筋を一言にすると「果物の物流」です。蜜雪氷城は工場で作れる原料を安く、CHAGEEは1品に絞って工程を減らし、喜茶はカテゴリを発明してブランドで高く売る。茶百道は、その真ん中の価格帯で、腐りやすい果物と乳を8,600店に届ける仕組みそのものを商売にしました。商品の発明でも安さでもなく、供給網で勝っている会社です。だから2024年に売上が落ちたとき、会社が磨いたのは商品ではなく倉庫と配送でした。
飲食店が真似できること、できないこと
飲食店の食材を扱う会社として、茶百道の18年から日本の飲食店やカフェが持ち帰れるものを分けます。ここも当社の見方です。
真似できること
- 「果物が見える」売り場を作る。茶百道の店は、店頭の冷蔵ケースに果物を並べ、壁一面にマンゴーの写真を貼ります。中身が生の果物であることを、言葉ではなく目で伝える作りです。フルーツティーやスムージーを出す店なら、カウンターに果物を見せるだけで同じ効果があります
- 看板商品を1つ決めて数字で語る。茶百道は楊枝甘露を「世界で年間9,200万杯」と数字で語り、海外の店でも最初に置きます。個人店なら「開店以来◯杯」でも構いません。数字のある看板商品は、初めての客の迷いを消します
- 朝の時間帯を取りに行く。2026年に茶百道の加盟店がコーヒーを入れた結果、朝の注文が増え、開店を7時半に早めた店が出ています。ティーの店は昼から夕方に売上が偏ります。コーヒーや軽食で朝を取りに行くのは、設備を1台足すだけでできる売上の底上げです
- コラボの相手を「客層が重なる別業界」から選ぶ。茶百道はゲーム、アイドルと組みました。相手の格ではなく、自分の客と相手のファンが重なるかで選んでいます。地元のイベントや近隣の店との組み合わせは、個人店でも同じ理屈で効きます
- 国や地域ごとに甘さと氷を変える。「一地一策」は大げさに聞こえますが、中身は甘さ、氷の量、お茶の濃さを客に合わせることです。2店目を別の街に出すとき、1店目のレシピをそのまま持ち込まない、という当たり前を会社の方針にしただけです
真似できないこと
- 27か所の倉庫と翌日配送の物流網。これは8,000店の注文をまとめて初めて成り立つ仕組みで、個人店や小さなチェーンが持つものではありません。日本の飲食店は、この役割を食材の卸に預けるのが現実的です
- 半年で62品の新商品。専門の開発チームと、8,000店で一斉に売る販路があって初めてできる数です。個人店は「作る」より「早く取り入れる」側が現実的です
- 年に千店を開いて千店を閉める加盟モデル。本部が卸で稼ぎ、加盟店の入れ替わりで店の数を保つ型は、日本の商慣習と加盟店の側の負担を考えると、そのまま持ち込めるものではありません
当社(マルイ物産)は、ボタンを押すだけでドリンクができる業務用の自動ドリンクマシンと、専用の原料を飲食店向けに取り扱っています。茶百道やCHAGEEのような専門店品質のドリンクを「誰が作っても同じ味」で出したい方、ドリンク専門店ではない店にフルーツティーやミルクティーのメニューを載せたい方は、お気軽にご相談ください。
自動ドリンクマシンについて問い合わせる茶百道のメニューは何でできているか。業務用で再現するなら
最後に、茶百道を代表するメニューを素材の目で分解します。どれも「茶葉のお茶」が土台で、そこに果物か乳か具を重ねる構成です。
| メニュー | 主な素材 | 店で必要なもの |
|---|---|---|
| 楊枝甘露 | マンゴーの果肉、グレープフルーツ、サゴ、ココナッツミルク、ジャスミン茶 | 果肉を潰すペストル、サゴを茹でる鍋、ブレンダー |
| 招牌芋圓奶茶 | タロイモ団子(芋圓)、紅茶か烏龍茶、牛乳、黒糖 | 芋圓を茹でて保温する器、お茶を濃く淹れる道具 |
| 茉莉奶緑 | ジャスミン茶、牛乳、シロップ | お茶を濃く淹れる道具、シェイカー |
| 豆乳玉麒麟 | 豆乳、ジャスミン茶、ゼリー状のトッピング | ゼリーを固めて切る器、シェイカー |
| 青提茉莉 | マスカット、ジャスミン茶、氷 | 果肉を潰すペストル、シェイカー |
ポイントは、果物と乳の強さに負けないお茶の濃さです。茶百道のメニューの半分近くはジャスミン茶が土台で、香りの立つ茶葉を濃いめに淹れるか、抽出済みの濃縮茶を使うと、果物を載せても茶の輪郭が残ります。楊枝甘露のマンゴーは、日本の店なら冷凍の果肉ソースで置き換えるのが現実的です。当社の冷凍フルーツソースには、パイナップル・パッションフルーツ・マンゴーをナタデココと合わせた130gの小袋や、パッションフルーツ、台湾レモンなどの90gの小袋があり、1杯分ずつ使えます。芋圓は台湾のタロイモ団子で、作り方と業務用の入手先は芋圓の記事にまとめています。
この記事に出てきた、フルーツティーやミルクティーの土台になるジャスミン茶や烏龍茶は、業務用サイズで仕入れられます。FOODBOATは飲食店専門の食材通販です。お茶を濃く抽出したCHA SPRESSOと、ジャスミン茶・四季春・蜜香紅茶の台湾茶葉600gパックを、ケース単位と混載で販売しています。
- 一定金額以上で送料無料(沖縄・離島を除く)
- 原則翌営業日発送
よくある質問
茶百道の読み方は?
茶百道はどこの国のブランドですか?
茶百道は日本に店がありますか?
茶百道の店舗数は?
茶百道は上場していますか?
茶百道は韓国に何店ありますか?
茶百道と『崩壊:スターレイル』のコラボは日本でもやっていますか?
参考にした資料(39本。別タブで開きます)
- 新浪財経「茶百道多品類戦略提速 境外業務進入規模化拓展階段」(2026年9月1日、2026年中間決算)
- 経済観察網「茶百道2026年上半年営収26.55億、双輪駆動下毛利率出現下滑」(2026年8月29日)
- 財聯社「上半年茶百道営収26.55億元、貨品+設備販売25.24億元」(2026年8月28日)
- KrASIA「ChaPanda boosts H1 2026 performance with new products, supply chain efficiency」(2026年8月)
- moomoo「茶百道(02555)の経営陣:海外事業が規模拡大段階に入り」(2026年8月28日)
- 新華網「茶百道発布2025年業績公告:営収利潤双升、咖啡業務加速落地」(2026年3月27日)
- 経済観察網「茶百道2025年営収54億元、利潤増長超70%」(2026年3月30日)
- 深圳新聞網「千家加盟商遺憾離場 茶百道浄賺8.2億背後的規模焦慮」(2026年4月1日)
- 新京報「財報観察室丨茶百道2025:多品類打開新増長極」(2026年3月)
- 東方財富「茶百道2024年収入49.18億元 同比降13.8%」(2025年3月30日)
- CBNData「4大新茶飲企業財報拆解:転型陣痛初現」(2025年)
- 36Kr Japan「ティードリンク中国3位の「茶百道(ChaPanda)」、ついに香港上場」(2024年4月)
- 36Kr Japan「中国の人気ティードリンク「茶百道」、香港上場へ 店舗数は業界3位」(2023年8月)
- Bloomberg「タピオカティーの茶百道、香港上場初日は27%安で終了」(2024年4月23日)
- Forbes JAPAN「中国カフェチェーン「茶百道」が香港でIPO、約500億円調達へ」(2024年4月)
- 澎湃新聞「茶百道赴港上市:一年売茶近8億杯、99%為加盟店」(2023年8月、目論見書の要点)
- Wikipedia「ChaPanda」(英語版)
- 新浪財経「茶百道創始人王霄錕為何従不公布其学歴」(2025年11月20日)
- 中国青年網「茶百道就「使用過期原料」道歉:係個別門店、将排査所有店舗」(2021年10月1日)
- 網易新聞「茶百道加盟商:拿30万投資店舗、毎月只給自己掙份工資」(2026年8月16日)
- 網易「茶百道加盟費及条件一覧」(2025年6月10日)
- 新華網「茶百道咖啡業務進展超預期、3個月内覆蓋門店已増至2700家」(2026年6月22日)
- 証券時報「茶百道王歓:新茶飲還需10〜20年成長出全球品牌」(2026年4月15日)
- 正観新聞「茶百道海外単店日銷1.2万、却不敢多開店」(2026年1月20日)
- 新京報「茶百道海外市場已布局4城8店」(2024年6月13日)
- 新華網「茶百道が韓国でフランチャイズの認可を取得」(2025年7月8日)
- AFPBB(東方新報)「茶百道、ヨーロッパ初店舗オープン 楊枝甘露が14万杯超販売」(2025年2月)
- 北京商報「出海布局加速 茶百道北美首店落地紐約」(2025年8月18日)
- 東方財富「茶百道盧浮宮店将于8月開業」(2026年6月1日)
- TapTap「《崩壊:星穹鉄道》×茶百道連動官宣 4月25日開啓」(2026年4月)
- ChaPanda 公式サイト(英語。看板商品の年間杯数、進出先)
- 花瓣網(微博の転載)「茶百道第一家海外門店、10月22日東京盛大開業」(2019年10月)
- 練馬・豊島のグルメブログ「楊枝甘露@茶百道(椎名町)」(2019年10月27日)
- 同「【閉店】茶百道@椎名町」(2020年10月1日)
- としまライフ「茶百道(チャバイダオ)のタピオカは日本で椎名町だけ」(2020年7月、10月に閉店を追記)
- 食べログ「茶百道(CHA BAI DAO) 椎名町」(掲載保留)
- 創業邦「茶百道通過上市聆訊、王霄錕夫婦是如何将夫妻店干到百億独角獣」(2024年3月)
- 騰訊新聞「茶百道于曼谷落地東南亜首店、招股書曾称出海優先拓展東南亜市場」(2024年4月2日)
- FoodTalks「刚刚、茶百道正式上市」(2024年4月、海外1号店を2024年1月ソウルと記述の記述)
数字は各資料の公表時点のものです。店舗数や価格は変わりやすいため、本文では時点を併記しています。加盟にかかる費用と加盟店の収支は会社の開示ではなく中国メディアの報道によるもので、店の型と地域で大きく変わります。